EUの第3四半期GDP成長率は前期比0.4%、3期ぶりに成長鈍化

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2022年12月12日

EU統計局(ユーロスタット)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは12月7日、2022年第3四半期(7~9月)のEU27カ国とユーロ圏19カ国の実質GDP成長率(季節調整済み)を、それぞれ前期比0.4%、0.3%と発表した(添付資料表1、表2参照)。EUの成長率は2021年第4四半期(10~12月)から3期連続で0.7%の成長を維持した後に(2022年9月9日記事参照)、当期で0.3ポイント低下し、成長が減速した。ユーロ圏は、2021年第4四半期の0.5%から、0.6%、0.8%と緩やかに成長が拡大したが、当期は前期より0.5ポイント伸びが縮小した。

EUの実質GDP成長率(前期比)を需要項目別でみると、個人消費が前期の0.9%増から0.7%増(寄与度:0.4ポイント)に縮小したものの成長に貢献した。政府消費支出は前期の0.1%減から0.1%増(0.0ポイント)とプラス成長に転じた。総固定資本形成は前期の1.1%増から3.2%増(0.7ポイント)と大きく拡大し、経済成長を支えた。一方で、輸出は前期から0.1ポイント拡大し1.9%増となったものの、輸入が前期から2.0ポイント拡大し4.0%増となり、輸入の勢いが輸出を上回り純輸出でマイナス成長となった。

EUの実質GDP成長率(前期比)を国別でみると、エストニア(マイナス1.8%)、ラトビア(マイナス1.7%)など、9カ国でマイナス成長となり、前期の3カ国から増加した(添付資料表2参照)。他方、アイルランド(2.3%)、キプロス(1.3%)、マルタ(1.3%)、ルーマニア(1.3%)、ルクセンブルク(1.1%)は1.0%超の成長となり、加盟国間でのばらつきもみられる。

ユーロ圏の主要4カ国では、イタリア(0.5%)、ドイツ(0.4%)、フランス(0.2%)、スペイン(0.2%)と全てプラス成長になった。

雇用は堅調

2022年第3四半期のEUとユーロ圏の雇用者数の伸び率をみると、EU、ユーロ圏でそれぞれ前期比0.2%、0.3%となった(添付資料表3参照)。国別でみると、フィンランド(前期比マイナス0.8%)、ルーマニア(マイナス0.6%)などの6カ国で雇用者数が減少し、前期の3カ国を上回った。一方、スペイン(1.4%)、マルタ(1.0%)では1.0%以上の増加となった。

なお、ユーロスタット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが12月1日に発表した10月の失業率(季節調整済み)は、EU全体で6.0%、ユーロ圏で6.5%となりで、前期からそれぞれ0.1ポイント改善した。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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