中国の非金融部門債務残高のGDP比、過去最高の295.3%に

(中国)

中国北アジア課

2022年12月20日

中国の非金融部門の債務が拡大している。国際決済銀行(BIS)によると(注)、同国の非金融部門債務残高のGDP比は2022年6月末で295.3%と、同データをさかのぼれる1995年12月末(99.3%)以降で最高となった。債務残高は、特に金融危機発生後の2009年に急拡大し(2009年12月末175.1%)、その後、拡大基調が続いている。なお、2022年6月末の日本および米国の非金融部門債務残高のGDP比はそれぞれ425.6%、263.5%となっており、中国だけが高いわけではない。

中国の2022年6月末の同比率の内訳をみると、政府が75.0%、企業が158.7%、家計が61.6%となっている。内訳の政府のデータをさかのぼれる1995年12月末が21.6%だったこと、企業と家計のデータがさかのぼれる2006年3月末がそれぞれ105.3%、11.5%だったことに鑑みると、各債務が急速に膨らんできたことが分かる。中でも現在の比率が最も高い企業の債務は、日本の同債務比率が最も高かった1993年12月末の144.9%を上回っており留意が必要だ。企業債務の拡大には不良債権化の懸念がつきまとう。

角度を変えて、中国での新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年から直近までのデータをみてみると(添付資料図参照)、非金融部門債務残高のGDP比は、同国での新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大初期の2020年3月末に急上昇し、そこから2020年12月末にかけて291.7%まで上昇した後は2021年12月末の286.1%まで少し低下していた。2021年の実質GDP成長率が前年(2.2%)から8.1%に回復したことから分かるとおり、新型コロナ感染の封じ込めで経済活動が正常化してきたことや、同年1月に銀行の融資残高に対する不動産融資と住宅ローンの割合に上限を設けるなど、不動産分野で管理強化がみられたことなどが背景にあるとみられる。しかし、2022年3月末、6月末は、同年に入りオミクロン株の局地的な感染拡大がみられ景気が冷え込んだこと、中国政府が経済の安定化に向けた一連の措置を講じてきたことなどから再び同比率が上昇に転じたとみられる。

(注)12月5日にデータをアップデート。

(宗金建志)

(中国)

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