香港企業の「大湾区」ビジネス、9割以上が「新型コロナ規制の影響」に課題

(香港)

香港発

2022年12月13日

香港貿易発展局(HKTDC)は12月6日、香港政府系の貿易保険機関である香港輸出信用保険局と共同で、新型コロナウイルスのパンデミック後の広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)への事業展開に関するアンケート結果を公表した。同調査は2022年7月から9月にかけ、ベイエリアに参入済みまたは参入に関心を持つ香港の貿易・製造業者413社に対して実施された。

調査結果の概要は以下のとおり。

【ベイエリアでの販売戦略について】

  • 約70%の企業が中国本土のバイヤーに直接販売したことがあると回答。うち90%以上は広東省のベイエリア内の都市での販売が占める。
  • 多くの企業は主にB2Bの販売チャネルを介してベイエリア市場を開拓している。
  • 企業が最も関心のある市場は、深セン市73.8%、広州市68.8%、東莞市43.6%、珠海市43.3%。主に海外で購入した製品や、本土で製造または調達した製品をベイエリアで販売する計画。
  • 65.1%の企業がECアプリケーションを活用した本土でのビジネス機会の創出を検討している。

【販売拡大における課題について】

  • 回答企業のうち95%以上が新型コロナウイルスの防疫措置を受けたサプライチェーンの乱れや厳格な出入境管理規制などの課題に直面している。
  • ベイエリアでの販売拡大時に課題となる点として、本土の安価な商品(との価格競争)(36.8%)、本土の法規制や製品規格に関する知識の欠如(35.8%)が挙げられた。
  • 本土での信用取引商慣習とは異なるが、57.9%の企業は本土のバイヤーとの取引時に前金払い決済とすることを要求している。一方、43.6%は本土での販売の売掛金の回収について、自らリスクを負うことを選択している。

また、HKTDCはベイエリアでの販売強化に向けた課題について、香港の企業や業界関係者の認識や方針をより深く理解するため、アンケート調査に加え、数社に対して個別インタビューを実施。以下の回答結果を得た。

  • 本土の市場は文化ちゃ消費者需要、販売チャネルや商習慣で欧米市場と異なるため、企業は本土市場をよく理解する必要がある。
  • 本土ではオンライン・オフラインの展示会や事業活動に加え、オンラインショッピングやECマーケティングが主流。企業はECによる課題解決に向けてより革新的な技術を活用すべき。
  • 本土における信用の透明性は低い。企業はリスク管理に取り組み、専門家によるデューディリジェンスの実施や顧客の事業・信用状況を確認する必要がある。また、信用販売を回避する選択肢に加え、取引信用保険などの活用を検討する必要がある。

調査結果の詳細はHKTDCのウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にて確認できる。

(松浦広子)

(香港)

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