世界2位の衣料品輸出国を維持、今後は高付加価値製品の輸出拡大へ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年12月16日

WTO1130日、「世界貿易統計レビュー2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。本報告書では2021年の世界貿易の動向について分析し、物品およびサービス貿易について解説している。

本報告書によると、衣料品の輸出国について、世界1位が中国で輸出額1,760億ドル、32.8%のシェアを占めている。次いで1,510億ドル、28.1%のEUがあるが、国単体では2位がバングラデシュ(340億ドル、6.4%)となり、2010年時のシェア(4.2%)と比較すると、2.2ポイント上昇している。バングラデシュが衣料品輸出国として一定の地位を築いていることを示している。なお、以下、ベトナム(310億ドル、5.8%)、トルコ(190億ドル、3.5%)、インド(160億ドル、3.0%)が続いた。

一方、バングラデシュはテキスタイルの輸入国としても、国単体では世界4位(150億ドル、3.9%)となり、原材料について輸入に依存している状況も明らかになっている。また、バングラデシュの衣料品の輸出先は欧米で、20212022年度(20217月~20226月)については上位10カ国でニットが77.1%、布帛(ふはく)が81.6%を占めており、輸出先の多角化も課題となっている。日本向けはニット2.5%(添付資料表1参照)、布帛2.6%で(添付資料表2参照)、今後の輸出拡大が期待できる有力市場と見なされており、ローカル企業からの注目も高い。

ダッカ日本商工会の竹内幸太郎繊維部会長(日華化学ダッカ事務所長)は「欧米向け衣料品輸出は全体の85%を占めるが、欧州(EUおよび英国)、北米(米国およびカナダ)をそれぞれ1つの地域と捉えると、日本はバングラデシュにとって第3位の輸出相手国にまで成長している。2022710月の実績は、日本向け輸出額は45,000万ドルで、前年同期比26%増加した。また、バングラデシュはこれまでベーシックなTシャツなど簡単な仕様の衣料品を安く大量に作れることに価値が置かれてきたが、新型コロナ禍を経て、過度な欧米依存へのリスクが叫ばれるようになった。これに加え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻発生後、原材料やエネルギー価格が高騰したことで、安価品へ依存した薄利多売の利益体質には大きなリスクが伴うことを各工場運営者が身をもって体験したため、バングラデシュの繊維産業は転換期を迎えたといえる」とし、「政府はアパレル産業拡大戦略の主軸として、輸出先と製品の多様性、高付加価値、サステナビリティを重視している。特に、サステナビリティにおいては、国として具体的な環境負荷低減目標も設定している。日系アパレル各社は、バングラデシュでの国内調達の引き合いも増やしているため、当地日系企業も、国の戦略に沿って事業拡大を図ることが重要と考える」と話す。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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