オマーン鉄鋼大手がグリーン鉄鋼工場建設を発表

(オマーン)

中東アフリカ課

2022年12月07日

オマーンの鉄鋼大手ジンダル・シャディード・グループは12月4日、同国のドゥクム経済特区内に、グリーン鉄鋼の製造工場を建設することを発表した。投資額は30億ドルで、2026年に完成予定。敷地面積は約2平方キロで、ドゥクム港のコンセッション区域内に建設する。

同社は新工場の目標について、年間500万トンのグリーン鉄鋼の生産と年間8億ドル以上の付加価値創出とした。製造にはグリーン水素や再生可能エネルギーを利用する。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、オマーンの再生可能エネルギー発電容量(2021年)は187.6メガワット(MW)で、太陽光が73%、風力が27%を占める。新工場建設の覚書と土地割当契約の署名式典に出席した経済特区・フリーゾーン公社(OPAZ)のアーメド・ビン・ハッサン・アル・ディーブ副委員長は「オマーン、特にドゥクム経済特区は年間を通じて太陽光と風力エネルギーが利用可能だ。グリーン産業と再エネプロジェクトへのさらなる投資を促進するだろう」と述べた。

ジンダル・シャディード・グループ最高経営責任者(CEO)のハーッシャ・シェッティー氏は、特にESG(注)への意識が高い欧州とアジアのグリーン鉄鋼需要が急増していると述べた。そのため、新工場の生産量の約30%から40%はオマーンや湾岸協力会議(GCC)諸国で消費され、その他は輸出するとしている。製造したグリーン鉄鋼製品は自動車や風力発電、耐久消費財の分野に供給する。

オマーンは2019年に発表した国家戦略「オマーンビジョン2040外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で「持続可能な環境」を柱の1つに掲げ、再生可能エネルギーやグリーン水素の開発プロジェクトに取り組んでいる。今回の新たなグリーン鉄鋼工場建設は同国家戦略への貢献が期待される。

(注)環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字。

(久保田夏帆)

(オマーン)

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