与党はラマポーザ大統領の続投支持を表明

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年12月07日

南アフリカ共和国で12月5日、与党・アフリカ民族会議(ANC)の全国執行委員会(NEC)はシリル・ラマポーザ大統領の続投を支持し、大統領弾劾を求める声に反対すると発表した。

NECは前日の4日から緊急臨時会合を開催し、ラマポーザ大統領の汚職疑惑(「パラパラ疑惑」)に関する報告書に関し、憲法と汚職行為防止法に違反した可能性があると指摘していた(2022年12月2日記事参照)。これに対して、ラマポーザ大統領は5日、憲法裁判所に対して同報告書の無効を求める申し立て手続きを行った。今後、憲法裁判所がこの申請を受理するかどうかに加え、報告書の内容を司法としてどう判断するかが注目されている。

ANCのグウェデ・マンタシェ委員長はメディアに対して「ラマポーザ大統領が辞任すれば、国とANCにとって『混沌(こんとん)とした状態』になる。通貨や経済の安定ためにも、指導者の安定性を確保することが重要」と述べた。実際、通貨は1ドル17ランドと底固く推移していたが、11月30日から12月1日にかけて5%超の下落となった。その後やや回復したものの、今後の動向により変動する可能性が高いとみられる。大手格付け会社フィッチは今回の騒動に関して、政情不安と南アの政策見通しに対する不確実性が高まる可能性があると警告している。

なお、南アでは、12月6日に大統領の弾劾手続きを行うか否かの特別臨時国会が予定されていたが、12月13日に延期が決まっている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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