ケララ州のスタートアップが東京で自社の最新技術をアピール

(インド)

チェンナイ発

2022年12月26日

イノベーションリーダーズサミット(ILS、公式サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が11月29日から12月2日にかけて東京・虎ノ門ヒルズで開催され、インド・ケララ州のスタートアップ4社が出展した。以下、参加企業の概要を紹介する。

ピックス・ダイナミクス(Pix Dynamics)は、人工知能(AI)による画像認識システムを提供している。同社のブースには多くの来場客が集まり、日本企業の関心の高さが垣間見えた。

アリビ・グローバル(Alibi Global)は、サイバーフォレンジック(注1)に強みを持ち、インドに3拠点を有する。日本の同業企業との協業により、日本の政府機関などにサイバーフォレンジックによるサービスを提供したいという。また今後は、中東やアフリカにも展開していきたいとのことだ。

フェブノ・テクノロジーズ(Febno Technologies)は、クラウド型のSaaS(サービス・アズ・ア・ソフトウエア)を販売している。日本企業と提携し、日本で販売開始を目指す。特に来場客が関心を示したのが、同社が提供するプラットフォームが、マイクロソフト(Microsoft)やグーグル(Google)などの大手の事業向けサービスを一括提供している点だった。また、同プラットフォームで、中小企業の自社製品の日本国内外への販売が可能になるという。

エースウェア・フィンテック・サービス(Aceware Fin Tech Services、AFTS)は、日本のフィンテック企業と協業し、ネオバンキング(注2)やウェラブルウォレット(注3)などの自社製品を日本市場に投入したいと考えている。日本ではアップル(Apple)製スマートフォン使用率が高いため、AFSは日本市場向けに独自の同社製スマートフォン向けアプリケーションの強化を狙っている。来場者の多くが、指輪やキーホルダーのウェアラブルウォレットに興味を持ったため、まずはそこに注力する予定だという。将来的には、銀行やフィンテック企業との提携により、地下鉄やコンビニエンスストアなどでの支払いの簡素化に役立つと見られる。

なお、新興テクノロジーの分野でスタートアップ企業の発展をサポートする目的で、ジェトロとケララ州政府傘下のケララ・スタートアップ・ミッション(スタートアップ促進機関、KSUM)は2022年2月に覚書を締結している(2022年3月2日記事参照)。今回、同締結がきっかけとなり、ケララ州スタートアップ企業のILS出展が実現した。

(注1)サイバーフォレンジックは、コンピュータ端末から証拠を特定し、保存する調査技術。

(注2)ネオバンキングは、物理的な支店ではなく、オンラインで決済や融資などのサービスを完結させる新しい銀行の形態。AFTSは、それを可能にするサービスを提供している。

(注3)ウェラブルウォレットは、指輪やキーホルダーなどの形でデザインされ、従来型のカードを使わずに、スマートフォンのアプリに接続して行われるキャッシュレス取引。

(浜崎翔太、ビラバブ・ビーラ)

(インド)

ビジネス短信 2952a8bc2c69f182