新型コロナ対策として設置された国家回復会議を解散

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年12月23日

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は12月21日、国家回復会議(National Recovery Council:NRC)を解散したと発表した。国家回復計画は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)からの出口戦略として、2021年6月にムヒディン政権下で発表された(2021年6月21日記事参照)。この計画に基づき、4段階のフェーズごとに新型コロナ関連規制の緩和を段階的に行っていたが、首都クアラルンプールは2021年10月時点で、またマレーシア全土が2022年1月に第4段階に移行していた(2022年3月末時点「ビジネス活動正常化に向けた基本情報」参照PDFファイル(1.0MB)、国家回復計画の公式ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます自体も既に閉鎖)。

計画の実施主体として設置されたNRCが、国境の再開時期などを含めた新型コロナ対策を協議しながら、国内経済や国民生活をロックダウンから回復させる戦略を立て、政府に提言する役目を担った。ムヒディン・ヤシン元首相が2021年9月から議長を務めていた。議長職は閣僚級の職位だった。一方、ムヒディン氏は2022年12月17日、NRCは諮問機関にすぎず、いかなる政策執行権限もなかったとの見解を示した。加えて、議長就任中は無償で職務を遂行していたとし、コスト面での影響はなかったと暗に述べていた。

アンワル首相は「(新型コロナに対応するという)当時のニーズに基づきNRCは設立されたが、機能の重複があるため解散を決定した」「職務の重複は政権の運営コスト増長につながる」と述べた。アンワル首相のコンパクトな政権への志向や、新型コロナからの回復本格化がうかがえる決定だ。首相によれば、他にも見直しの対象になり得る政府機関があるという。例えば腐敗防止センター(GIACC)は、警察や汚職摘発委員会(MACC)による対処が可能であれば、行政コスト削減のため解体する可能性があると明らかにした。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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