在香港の域外企業拠点数、4年ぶりに9,000社を下回る

(香港)

香港発

2022年12月01日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は11月24日、2022年の香港域外に親会社を有する企業(以下、香港域外企業)の香港拠点に関する調査結果を公表した。

本調査によると、香港域外企業が香港に設置している拠点数は、2022年6月時点で合計8,978社と、前年(9,049社)比で0.8%減少した。合計拠点数が9,000社を下回るのは2018年以来4年ぶりとなる(添付資料表1参照)。

機能別にみると、域内(香港およびその他1カ所以上の地域)の拠点を管轄する権限を有する「地域統括本部」は1,411社(前年比3.2%減)、域内の拠点を運営または調整する機能を有する「地域拠点」は2,397社(3.5%減)といずれも減少した。他方、域内の業務を担当する「現地拠点」は5,170社(1.2%増)だった。

就業人数では、「地域統括本部」は前年から15.5%減少し、13万6,000人となった。地域拠点は8万8,000人(前年比6.0%増)、現地拠点は24万3,000人(6.1%増)だった。

新型コロナウイルス感染拡大以降、日本企業が域内のみで事業展開する傾向に

日本企業が香港に設置している拠点数は、1,388社と前年から変動はなかった。機能別では、「地域統括本部」が212社(前年比1.0%増)、「地域拠点」が402社(5.0%減)、「現地拠点」が774社(2.5%増)となっている(添付資料図参照)。それぞれについて経年の推移をみると、「地域統括本部」と「地域拠点」の拠点数は、ここ数年はほぼ横ばいで推移している。直近では、いずれも新型コロナウイルス流行以前の2019年時点の水準(「地域統括本部」232社、「地域拠点」431社)に届いていない。一方で、「現地拠点」は、2020年には前年比で0.7%とわずかに減少したが、その後は2年連続で増加。2022年には2019年比で3.2%増となった。新型コロナウイルス流行以降、日本企業が域内で事業展開を図る傾向が強まっている。

欧米企業の地域統括本部数の減少が顕著

「地域統括本部」について、親会社所在国・地域別にみると、近年、中国本土による「地域統括本部」の設置増加の傾向が顕著となっている。2022年には251社と前年(252社)から横ばいとなったが、4年前との比較では27.4%増と主要国の中で唯一2桁増となっている(添付資料表2参照)。

一方、欧米企業では減少が目立つ。イタリア(前年比20.0%減)とフランス(10.1%減)で前年から2桁減となったほか、米国(5.5%減)、英国(2.9%減)などでも減少した。

フランスに本拠を置くナティクシス・コーポレート&インベストメント・バンキングのアジア太平洋担当シニア・エコノミストの呉卓殷氏は「新型コロナウイルス感染対策が緩和されたとしても、引き続き域外企業は(地政学的リスクや中国の成長率鈍化に伴う)構造的な問題の影響を受けるため、香港に拠点を置く域外企業の拠点数が短期的に大幅増となることは考えにくい」との見解を示した(「信報」11月25日)。

(松浦広子)

(香港)

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