GCC特許庁が2023年1月から特許出願の受け付けを再開

(湾岸協力会議(GCC)、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2022年12月23日

湾岸協力会議(GCC)特許庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは12月1日、加盟6カ国(注)のうちバーレーンとクウェートに代わって、特許出願の受け付けおよび方式・実体審査を2023年1月1日から再開すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

GCC特許の改正規則・細則PDFファイル(336KB)(以下、改正法)によれば、今後、GCC特許庁は、加盟国の国内特許出願について一部のサービスを代行する機関となる見込み。各加盟国は、特許出願の審査業務〔(1)出願受け付けのみ、(2)出願受け付け・審査、(3)出願受け付け・審査・特許付与〕について、どのサービスをGCC特許庁に委ねるかを選択できる(ジェトロ中東知財ニュースレター2022年2月号参照PDFファイル(0.0B))。新制度の運用開始は加盟6カ国全てがサービスを選択した後になるものとみられていたが、バーレーンとクウェートの2カ国が先行した格好だ。今般の発表では、運用の詳細や、他の加盟4カ国に関する言及はない。

改正法によれば、加盟6カ国で有効な単一の特許は廃止される予定だ。ジェトロによるGCC特許庁への照会(2022年12月18日)では、「今後、GCC特許は廃止される予定。ただし、2021年1月5日以前に出願されたGCC特許出願は、旧制度に基づいて審査がなされ、特許要件を満たす場合は加盟国の全てで有効なGCC特許が付与される」と回答があった。

GCC特許庁は2021年1月6日以降の特許出願の新規受け付けを突如停止外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、混乱を招いていた。停止の理由は現在も公表されていない。改正法は2022年2月1日に施行されていたものの、各加盟国が前述のサービスの選択の検討に時間を要していたために運用が開始されず、制度の詳細が不透明な状態が長く続いていた。加えて、改正法の規定の不明確さから、GCC特許自体の存続の有無は、専門家の間でも見解が分かれていた。

GCC特許庁はPCT(国際特許条約)に加盟していないが、各加盟国はいずれもPCTに加盟しているため、加盟6カ国への出願は、各国への直接出願のほかPCTルートでの出願も可能。他方で、GCC特許による統一的な保護が廃止されて加盟国別の手続きが必要になることで、日本企業からはコスト面への影響を懸念する指摘がされている。今後、運用の詳細の発表や、他の加盟国での動きが注目される。

(注)バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国で構成されている。

(関景輔)

(湾岸協力会議(GCC)、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)

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