新大統領が内閣を発表、一部で前大統領支持住民が暴徒化して死者も
(ペルー)
リマ発
2022年12月14日
ペルーのディナ・ボルアルテ新大統領は12月10日、新内閣を率いる首相に弁護士で元検察上級検事のペドロ・アングーロ・アラナ氏を任命し、大統領府で宣誓式を行った。また、運輸通信相と労働雇用促進相を除く16閣僚の任命宣誓式も併せて行った。ボルアルテ大統領は12月7日の議会での就任演説で「国民の一致団結と各政党間の対話による政治混乱の解消」「汚職撲滅」などを訴え、各党派の考えを反映した組閣を約束していた。
主要閣僚では、外相に通商観光省(MINCETUR)の元貿易担当副大臣で、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の交渉官も務めたアナ・ヘルバシ・ディアス氏が就任した。通商観光相には2010~2016年に在日ペルー大使館商務参事官を務めたルイス・フェルナンド・エルゲーロ氏が任命された。エネルギー鉱山相には化学エンジニアで元国営石油会社ペトロペルー(PETROPERU)のマネジャーを務めたオスカル・エレクト・ベラ・ガルグレビッチ氏が就任するなど、全体的に実務経験のある有識者で構成されている。任命が遅れている運輸通信省(MTC)と労働雇用促進省(MTPE)について、前者はカスティージョ政権下で汚職の温床の1つとして捜査対象となっており、後者については労働法改正や改正アウトソーシング法など懸案事項の各種法律を所管することから、人選が難航していると思われる(その他の閣僚は添付資料参照)。
一方で、一部の地方では、カスティージョ前大統領を支持する左派系住民による抗議活動が発生している。特に南部アプリマック州とアレキパ州では暴徒化したデモ隊と警察当局との衝突で5人の死者が出ており、政府はアプリマック州に60日間の緊急事態宣言を発令した。デモ隊は主に「カスティージョ前大統領の釈放」「議会の解散」「総選挙の前倒し」などを求めている。これに対して、ボルアルテ大統領は12月11日の国民放送で、総選挙の2024年への前倒し法案を議会に提出することを宣言。同法案は既に議会に提出しており、議会の判断が待たれる。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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