スリランカ、COP27で国際気候変動大学創設と気候繁栄計画を発表

(スリランカ)

コロンボ発

2022年11月17日

スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領は11月8日、エジプトで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、「国際気候変動大学(International Climate Change University)」のスリランカへの創設PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)および「気候繫栄計画(Climate Prosperity Plan)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

ウィクラマシンハ大統領は国際気候変動大学に関して、「科学者、環境保護活動家、研究者、政策立案者、開発担当者、そして世界中の学生が、国や分野の境界を越えて知識を交わす、環境や水素に関する研究の分野横断型グローバルセンターとなり得る」と述べた。具体的には、気候変動の緩和・適応に関する能力育成に向けた、短期間のコースや大学院レベルの学術賞を提供するという。そのうえで、国際気候変動大学の設立に向けて、英国連邦コモンウェルスや世界銀行、アジア開発銀行などに資金協力を呼びかけた。

また、気候繫栄計画では、海外からの投資により経済成長と雇用を促進するとともに、気候変動への適応を加速させることで、温室効果ガス排出量の引き下げを図る道筋を示した。具体的な目標としては、2030年までに再生可能エネルギーによる発電割合を現行の35%から70%まで引き上げるという。そのほか、沿岸における風力発電や太陽光発電を活用し、2025年にはエネルギーの輸出国へと転換するとともに、2040年までに国内で消費されるエネルギーの全てを再生エネルギーで賄うことも目標に掲げている。

一方で、グリーン水素を推進していたG7やG20の国々が現在は化石燃料の使用に回帰しているとして、「このような二重基準は容認できない」と先進国を批判した。その上で、現在の気候変動が先進国による産業化によってもたらされたものだと指摘し、途上国への異常気象の影響を和らげるために、先進国によるさらなる資金供与と損失の補填(ほてん)を求めた。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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