中銀、政策金利を7.5%に据え置き

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年11月04日

ロシア中央銀行は10月28日に行われた理事会で、主要政策金利(キーレート)を7.5%に据え置いた(添付資料図参照)。

据え置きの背景として中銀は、消費者物価上昇率の低い状態が続いており、年間でみたインフレ率が鈍化していることを挙げた。9月21日に発令された部分動員令は今後数カ月にわたって消費者需要を減退させ、インフレを抑制する要因になる。その後は製品や原材料の不足による供給制約や、部分動員令による労働力の不足により、物価が上昇するだろうと説明した。

中銀は、連邦財政が今後悪化した場合、2024年にインフレ率を目標値の4%近辺で維持するため、引き締め政策に転換する必要性についても言及した。「ロシア銀行の中期予測」(10月28日)では、10⽉31⽇から2022年末までの政策金利を7.4〜7.6%、2023年6.5~8.5%、2024年6.0〜7.0%、2025年5.0〜6.0%と予測している。次の理事会は12月16日に予定されている。

エリビラ・ナビウリナ中銀総裁は10月28日の記者会見で、9月は前月と比べて自動車保険や携帯電話料金など一部の価格が上昇したが、一時的なものであり、食料品など消費財は引き続き低い水準にあると説明した。連邦国家統計局によると、9月の消費者物価上昇率は前月比0.05%(前年同月比13.68%)、食品はマイナス0.38%(14.20%)、非食品は0.15%(14.94%)、サービスは0.51%(11.01%)。8月の消費者物価上昇率は前月比マイナス0.52%(前年同月比14.30%)(2022年9月20日記事参照)。

9月の生産者物価上昇率は前月比マイナス0.8%(前年同月比3.8%)だった。物価の上昇率は低水準だが、S&Pグローバルが10月3日に発表した9月のロシア製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.0(前月比0.3ポイント増)となり、5カ月連続で景気後退とされる基準の50を上回っており、生産や新規受注の需要が徐々に高まっている。5日に発表したサービス部門PMIは51.1(前月比1.2ポイント増)と基準を超えた。

中銀は、2022年のインフレ率は12~13%、2023年は5~7%、2024年には目標の4%に戻るとし、2022年の実質GDP成長率はマイナス3.0〜3.5%になると説明した。

(小野塚信)

(ロシア)

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