中銀、政策金利を7.5%に引き下げ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年09月20日

ロシア中央銀行は9月16日に行われた理事会で、主要政策金利(キーレート)を8.0%から7.5%とすることを決定した。適用は19日から(添付資料図参照)。

引き下げの背景として中銀は、消費者物価上昇率の低い状態が続いており、年間でみたインフレ率の鈍化に寄与しているが、外部環境は依然として厳しい状況にあり、経済活動を著しく制限していることを挙げた。

ロシア連邦国家統計局によると、8月の消費者物価上昇率は前月比マイナス0.52%(前年同月比14.30%)、食品はマイナス1.36%(15.77%)、非食品はマイナス0.05%(15.51%)、サービスは0.05%(10.45%)。7月の生産者物価上昇率は前月比マイナス2.2%(前年同月比6.1%)となった。

今後の政策見通しについて、エリビラ・ナビウリナ中銀総裁は引き下げ決定後の記者会見で「追加の引き下げ余地は狭まった」と述べた。他方で、ズベルCIBインベストメント・リサーチのアナリスト、イーゴリ・ラポヒン氏は、マクロ経済指標をみると季節変動を上回るデフレが発生しており、中銀が次回の会合で主要政策金利を7.0%に引き下げるだろうとの見解を示した。ソフコムバンクのチーフアナリスト、ミハイル・ワシリエフ氏は、主要政策金利が追加で引き下げられた場合、消費者と企業への貸し出しが増えるだろうと述べた(ベドモスチ9月16日)。中銀と政府は国内の景気刺激策として4月以降の利下げによる金融緩和と融資支援策による貸し付けを推進している(2022年6月1日記事参照)。

S&Pグローバルが9月1日に発表した8月のロシア製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7(前月比1.4ポイント増)となり、4カ月連続で景気後退とされる基準の50を上回った。5日に発表したサービス部門PMIは49.9(前月比4.8ポイント減)と基準に近い数値で推移している。

中銀は、2022年のインフレ率は11~13%、2023年は5~7%、2024年には目標の4%に戻るとし、実質GDP成長率はマイナス4.0~マイナス6.0%になると説明した。

(小野塚信)

(ロシア)

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