不動産市場の振興に向け、16項目の金融支援策を発表

(中国)

北京発

2022年11月24日

中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は11月11日、「金融による不動産市場の安定的で健全な発展のサポートを徹底する通知」を発表した(注)。

同通知には、不動産開発企業に対する融資の安定化や、住宅の確実な引き渡しを保証する特別融資の提供、資産管理会社による資金難の不動産開発企業に対する支援の奨励、住宅ローン利用者の権益保護など6分野・16項目の支援策が盛り込まれている。

主な内容は以下のとおり。

  • 国有企業、民間企業を問わず、健全なコーポレートガバナンスを備えている優良な不動産開発企業に対する融資支援を奨励。
  • 個人向けの住宅ローンについて、差別化した住宅貸付政策に基づき、各地の状況に応じて頭金比率と住宅ローン金利の下限を設ける。
  • 通知の発表日から6カ月以内に返済期限を迎える不動産開発企業の銀行融資や信託借り入れにつき、期限を1年間延長することを可能とする。
  • 優良な不動産開発企業や短期的な資金不足に陥った不動産開発企業の起債に対する信用増強を支援。
  • 国家開発銀行などの政策銀行による住宅引き渡しを保証するための特別融資の提供や、金融機関の関連融資による支援を奨励。
  • 優良な不動産開発企業が困難に陥っている不動産開発企業を合併買収するプロジェクトを重点的に支援。資産管理会社が不良債権処理やリスク管理などの分野で経験と能力を発揮することを奨励。
  • 新型コロナウイルスの影響で住宅ローン利用者が失業状態になった場合や、不動産購入契約が変更または取り消された場合、金融機関が住宅購入者と住宅ローン返済の延長などについて交渉することを奨励。

また、中国銀行保険監督管理委員会など3部門は11月14日、不動産開発企業の流動性リスクを緩和するための通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、商業銀行が発行した保証状を前提条件として、特別口座で管理されている、不動産開発企業が住宅の事前販売で取得した頭金などの資金の一部を活用することを認めた。こうした一連の支援策が不動産市場の活性化につながるか注目される。

国家統計局の発表によると、2022年1~10月の不動産開発投資は前年同期比8.8%減、住宅販売額は28.2%減と大幅なマイナスが続いている(2022年11月16日記事参照)。

(注)同通知は一般公開されておらず、内部文書として地方の金融当局や金融機関に通達したかたちとなっている(11月21日時点)。

(張敏)

(中国)

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