フィンランドのネステ、米ロサンゼルス空港にSAF大量納入

(フィンランド、米国、日本、フランス、オランダ)

ロンドン発

2022年11月29日

フィンランドの再生可能燃料メーカーのネステは11月22日、米国ロサンゼルス国際空港に約 1,500トンの持続可能な航空燃料(SAF)を納入したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同燃料の使用により、温室効果ガス(GHG)排出量を燃料のライフサイクル全体で最大8割削減できるとしている。

これまでもロサンゼルス空港からのフライトにSAFが使用されたことはあったが、運搬量は少なく、頻度も低いものだった。ネステは、同空港で航空機にジェット燃料を供給する航空会社のコンソーシアム・LAXフューエルと協力し大量納入を行った。

ネステが製造するSAFは、使用済み食用油など持続可能な方法で調達された再生可能な廃棄物や残渣を原料として製造されている。同社は、SAFの年間生産能力を2023年末までに150万トンに増強するとしている。シンガポールの製油所の拡張工事が完了すれば、2023年第1四半期(1~3月)末には生産能力が100万トン超となるとしている。

また、同社は航空貨物関連のデジタル技術を提供するカーゴアイと11月、航空貨物輸送の二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けたパートナーシップの開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。予約システムを通じて貨物輸送業者が貨物予約などの段階で排出量を確認できるようにするほか、排出量を削減するためにさまざまな割合で同社製SAFを購入できるようにする。

伊藤忠商事とは、2月に同社製SAFに関する日本市場向け独占販売契約を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、羽田空港と成田国際空港でSAFを供給。さらに11月には伊藤忠商事、富士石油と連携し、日本でSAFの混合実証プロジェクトに参加することを発表。伊藤忠商事が2023年1月にネステのSAFを輸入、富士石油と共同で従来のジェット燃料に混合する。

同じく11月、フランスの石油備蓄・供給企業CIMと連携を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、CIMが運営するル・アーブルのターミナルから空港までパイプラインでSAFを供給する。フランスでは、同国発の商用航空のジェット燃料に最低1%のSAFを混合することを義務付けており、ネステは本協業が航空産業の移行に資するとしている。

同社はスタートアップへの投資も行っており、11月にオランダのベンチャーキャピタルファンド2社、旭化成とともに、プラスチックや化学品業界で化石原料から持続可能な代替品への移行を支援するオランダのサーキュラライズに総額1,100万ユーロの投資を実施することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(島村英莉)

(フィンランド、米国、日本、フランス、オランダ)

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