カナダ・オンタリオ州、新型コロナ、RS、インフルエンザの「三重の脅威」で屋内マスク着用を強く推奨

(カナダ)

トロント発

2022年11月16日

カナダ・オンタリオ州保健省の最高医療責任者であるキエラン・ムーア博士は11月14日、新型コロナウイルスの感染状況に関する記者会見を行い、「オンタリオ州の住民を対象として、学校や保育所などを含む屋内のあらゆる公共の場でのマスク着用を強く推奨し、2~5歳児については、大人の監督下でマスク着脱が可能で安全に着用可能である場合に着用を推奨する」と発表した。オンタリオ州は、新型コロナウイルス、RSウイルス、インフルエンザの「三重の脅威」に直面しており、乳幼児や高齢者、基礎疾患者など最も脆弱(ぜいじゃく)な人々を守るために集団行動が必要として、住民へのマスク着用推奨への理解を求めた。

会見に同席した、オンタリオ州保健省傘下の保健局医療担当執行副局長であるクリス・シンプソン博士は「1つ以上のウイルス性疾患で異常に多くの子供たちが病院の救急部門に来院しており、入院が必要となる子供たちの総数は異常に多い」とし、「オンタリオ州の病院は『三重の脅威』に対して準備をしてきた一方、重症の子供たちが多く、その兆候が予想していたよりも早く訪れている」と述べた。

他方、マスク着用義務化の可能性に関する記者団からの質問に対し、ムーア博士は「着用義務化は、正直なところ、われわれが行わなければならない最後の手段だと思っている。新型コロナウイルス感染拡大における過去1,000日間にオンタリオ州の人々は勧告を見事に守ってきた。今起きていることは新しいことであり、リスクの増大と医療制度に対する圧力の高まりについて州の人々に直接伝える機会を頂きありがたく思う」と述べるにとどまり、着用義務化再開を勧告するには至らなかった。

オンタリオ州では、トロント大学の子供専門付属病院であるシックキッズが11月11日、重症患者の治療キャパシティー維持のため、当面の間、外科手術を縮小せざるを得なくなったことを発表していた。同院では数日前から集中治療室の稼働率が127%以上となっており、院長兼最高経営責任者(CEO)であるロナルド・コーン博士は「この決断は軽々しくできることではなかった。外科手術の縮小により、重症治療室、小児科、救急部門など、患者数の増加や重症度の管理を必要とする病院内の部門をサポートすることができるようになる」と説明していた。

(飯田洋子)

(カナダ)

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