日本のスタートアップ9社、「Rock Thailand #4」でタイ大手企業に技術紹介

(タイ、日本)

バンコク発

2022年11月17日

ジェトロ、在タイ日本大使館、タイ通信大手トゥルー・グループは1116日、バンコク市内のインキュベーション施設で、日本のスタートアップなどによるタイ財閥へのピッチイベント「Rock Thailand #4(ロック・タイランド・バッチフォー)」を共催した。日本のスタートアップ9社がプレゼンテーションを行い、タイ側から参加したトゥルー、石油大手PPT、エネルギー大手EGAT、サイアムセメント、カシコン銀行など大手グループ会社傘下のコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)は、日本のデジタル技術などに関心を寄せた。

イベントの冒頭、西村康稔経済産業相は「サプライチェーンの混乱、カーボンニュートラルの達成といったリスク・課題の解決のカギは、イノベーションにある」と強調した。その上で、「ディープテックや斬新な発想を有し、次の時代の成長を牽引するスタートアップの存在が欠かせない」と述べ、日本政府として日本のスタートアップとASEANの経済界のコラボレーションを積極的に推進する考えを示した。

写真 西村経済産業相が開会あいさつ(ジェトロ撮影)

西村経済産業相が開会あいさつ(ジェトロ撮影)

人工知能(AI)技術やバイオ技術を持つ日本のスタートアップ9社は、タイの社会課題を踏まえ、自社技術がどのように課題解決に貢献できるかを発表した。リアルタイム画像認識とAI技術を使ったスタートアップであるニューラル・グループは、タイの長年の課題である道路渋滞や商業施設での混雑などの状況を画像分析し、空きスペースに誘導する技術などを紹介した。同社は2022年11月にタイで現地法人を設立したばかり。日本人とタイ人の共同チームで、タイでの事業開発を進める。

写真 日本のスタートアップによるピッチの様子(ジェトロ撮影)

日本のスタートアップによるピッチの様子(ジェトロ撮影)

タイ財閥のCVC5社によるパネル討議では、「タイ人の生活水準の向上に貢献する技術」を求める声が共通して聞かれた。特に、ディープテックに関心を寄せる向きが多かった。スマート・エネルギー、スマート製造業、スマート農業などのほか、ディープラーニングなどの関心領域が挙がった。

過去数回、本イベントに参加したCVCの担当者からは「以前の日本のスタートアップの提案は、技術的に優れていても、必ずしもタイの課題に関係しない印象もあった。今回はタイの社会課題が念頭に置かれ、タイ国内で応用できそうな技術が多かった」と評する声が聞かれた。ジェトロ・バンコク事務所の黒田淳一郎所長も「過去は日本の技術をそのまま持ち込むことが多かったが、環境が急速に変化するなか、日本とタイの共通課題である脱炭素化・デジタル化で連携を推進する必要がある」と述べ、ジェトロも全力で後押ししたい旨を表明した。

(北見創)

(タイ、日本)

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