越日工業大学、技術系の日本語人材育成促進を目指す

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年11月09日

ベトナム・ホーチミン市内の越日工業大学(VJIT)は1022日、20222023年度の入学記念式典を開催した。約700人の新入生を受け入れ、日本型のものづくりで活躍できる人材の育成を促進する。

越日工業大学は、ホーチミン市工業大学(HUTEC)を母体とし、2015年に開学。日本型ものづくりの実践力をつけるため、金沢工業大学(KIT)の支援を受けてプロジェクトデザイン教育(注1)が導入されている。日本語教育や日本でのインターンシップなどもカリキュラムに盛り込まれており、これまで多くの卒業生が日系企業に採用されている。

新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、3年ぶりにリアル開催となった同式典には、日本側来賓として在ホーチミン日本総領事館の渡邊信裕総領事や、金沢工業大学の森本喜隆副学長らが出席した。

式典の冒頭、越日工業大学のグエン・スアン・ホアン・ビエット学長は、新入生を前に「日本語の習得は決して簡単ではないが、越日工業大学の卒業生は日系企業で良いキャリアを積んでおり、日系企業からは継続して採用したいとの声を受けている」と激励した。

金沢工業大学の森本副学長は「越日工業大学が7年前に導入したプロジェクトデザイン教育を通じて、日本企業が特に強く求める能力である、自ら考える力、思考力・判断力・表現力、コミュニケーション力、コラボレーション力、リーダーシップなどを身につけることができるため、主体的に探究心を持って取り組んでほしい」と語った。

越日工業大学では、理工系の分野を中心に、日本型ものづくりにおける「安全」「環境(廃棄物の削減やリサイクル、職場の改善提案など)」「省エネ」「生産性の向上」などについて、専門教育とインターンシップを通じて幅広く学ぶ。日本でのインターンシップは、直近2年は新型コロナウイルス感染の影響で実施が見送られていたが、20224月から再開。その後、インターンシップおよび就職で約100人の学生が日本へ行った。

同大学では、日本人教師による集中的な会話練習を取り入れ、学生は日本語能力試験のレベルN3(注2)の認定取得を目標とするなど、日本語教育にも力を入れるほか、日本の文化やビジネスマナーも学ぶ。

写真 ビエット学長の式辞(ジェトロ撮影)

ビエット学長の式辞(ジェトロ撮影)

写真 新入生と来賓の記念撮影(HUTECH提供)

新入生と来賓の記念撮影(HUTECH提供)

(注1)学生自らが社会課題を発見し、その解決策をチームで提案してその効果を実証するプロジェクト型の実践教育。金沢工業大学の教育カリキュラムの主柱に位置付けられている。

(注2)日本語能力試験は、日本語を母語としない人を対象に日本語能力を測定し、認定する試験。最も難しいN1から順に、N2N3N4N55つのレベルがある。

(阿部浩明)

(ベトナム)

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