一部消費財の輸入業務を事前管理する新規則を導入

(チュ二ジア)

パリ発

2022年11月08日

チュニジア貿易・輸出開発省、工業・鉱業・エネルギー省、保健省の3省は10月16日、消費財の輸入業務の事前管理に関する新規則の導入を共同で発表した。輸入製品の品質と消費者の安全の確保を目的とし、製品を輸出国の生産工場から直接輸入することを義務付ける同規則は、10月17日から施行され、商社などによる取引の仲介を制限する恐れがある。

今回の規制対象となる消費財は、食品(冷凍食品、食材、油、野菜、コーヒー・茶など)、化粧品・香水、事務用品、プラスチック用品、衣料品(下着など)、特定の電気製品(冷蔵冷凍庫、ミキサー、ヘアドライヤー、接続端子など)、自動車部品の一部、モーターサイクル、自転車など130項目にわたる。一方で、国・公的機関・地方当局からの輸入、産業用の原材料・半製品およびスペアパーツの輸入、再生可能エネルギー生産計画のための機器の輸入は、対象外となっている。

同規制の対象商品については、チュニジアへの輸入許可取得に必須である「外国貿易書類の場所指定」(注)の申請の際に、チュニジア側管轄機関に押印された輸出元発行の請求書の提示が必要となる。そのためには、輸出国の公的機関発行の工場の操業許可、製造業者の品質管理システム採用証明、輸入製品の商標見本、輸出国の公的機関発行の自由販売証明書、国内使用基準に準拠した輸入製品の品質証明などの提出が求められる。

この突然の規制導入に対し、欧州委員会(EC)通商総局はチュ二ジア貿易・輸出開発相に宛てた書簡の中で、同規制はチュニジア・EU間の連合協定に沿わないとして、議論の場の早急な提供と同規則の実施停止を求めた。また、国内の各団体は、2022年1~9月の貿易赤字が192億4,000万チュニジア・ディナール(約8,850億円、TD、1TD=約46円)に達し、前年の同時期の119億7,430万TDから大幅に増加した現状への対策として理解を示す一方で、貿易障壁の拡大で物価上昇が助長され、国民生活がさらに困窮することを懸念している。さらに、関係者との事前協議なしに政府が新規則を導入したことへの批判を高めており、規制内容の見直しを求めている。

(注)「輸入書類の場所指定(Domiciliation)」とは、輸入者が輸入業務に関する貿易・外国為替規則上の銀行業務・手続きを実行する銀行を選択すること。

(渡辺智子)

(チュ二ジア)

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