EU・ベトナムFTA発効から2年、地場企業の活用には課題も

(ベトナム、EU)

ハノイ発

2022年11月21日

ベトナム商工会議所(VCCI)は1110日、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の効果検証セミナーを開催した。EVFTA202081日に発効(2020年7月31日記事参照)して以降、ベトナムのEU向け輸出が増加したとの報告があった一方、専門家からは活用上の課題が指摘された。

商工省輸出入局によると、EVFTAの発効後2年間(注)のベトナムの対EUの輸出額は、発効前2年間の706億ドルから18.4%増の836億ドルに拡大した。輸出の増加が顕著だった品目は、鉄鋼(315,000万ドル、8.4倍)、カメラ・ビデオカメラ・同部品(17,600万ドル、3.6倍)、機械設備・同部品(834,000万ドル、82.3%増)など。輸出額の大きい縫製品(72億ドル、8.3%増)や履物(895,000万ドル、7.7%増)は10%弱の伸びだった(添付資料表1参照)。

発効後2年間のベトナムの対EUの輸入額は、発効前2年間の280億ドルから16.1%増の325億ドルに拡大した。

恩恵受ける企業もある半面、課題も露呈

VCCIがベトナムの地場企業と外資企業を対象に実施した調査によると、EVFTAを活用したことがある企業は、回答企業(524社)の40.8%に当たる214社だった。EVFTAを通じて得られた恩恵については、この214社のうち約4割が輸出入における税制優遇と答えた(添付資料表2参照)。次いで多かったのは、協業機会の増加、EU市場からの注文の増加だった。なお、EVFTAの恩恵を受けていると答えた企業は、地場企業よりも外資企業の割合が高かった。

VCCI傘下のWTOセンターのグエン・ティ・トゥ・チャン所長は、地場企業のEVFTA活用の課題として、製品が原産地規則を満たさないことや、企業がEVFTAの税制優遇を十分に理解していないことなどを挙げた。また、2021年のベトナムのEU向けの輸出は前年比14.1%増にとどまり、他のFTA締結国向け輸出が18.2%増で、世界全体向けが19%増になったのと比べると、相対的に低い水準だと指摘した。

(注)202081日~2022731日までの期間。

(グエン・ラン)

(ベトナム、EU)

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