ドイツ電気・電子工業連盟、中国に関する提議を公表

(ドイツ、中国、米国、EU、韓国、シンガポール、ベトナム、インドネシア)

ミュンヘン発

2022年11月22日

ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)は11月17日、中国に関する提議を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同月11日にZVEIが発表したドイツにおける電気・電子・デジタル産業の中国との貿易・投資関係についての分析PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)結果を基に、中国戦略を策定中のドイツ連邦政府などに向けて示したものだ。

まず、2021年の世界の電気・電子・デジタル製品に占める中国の割合は生産ベースで52%、市場ベースで42%だった。また、2021年の貿易では、ドイツから中国への電気・電子・デジタル製品の輸出額は252億ユーロで、ドイツの対中国輸出総額の24.3%を占めた。これは、自動車(267億ユーロ)に次ぐ対中輸出額となる。一方、電気・電子・デジタル製品の中国からドイツへの輸入は711億ユーロで、対中国輸入総額の49.9%を占めた。これは機械(97億ユーロ)、化学・医薬品(93億ユーロ)、自動車(40億ユーロ)を大きく上回る。ZVEIによると、対中国輸出に直接関わる電気・電子産業の国内従業員は5万2,000人(ドイツの全従業員数の6%)に及ぶという。2020年の投資でも、ドイツから中国への電気・電子・デジタル産業の直接投資残高は73億ユーロとなり、米国(71億ユーロ)を超え、最大の投資先となった。

これらの分析を踏まえて、ZVEIは、電気・電子産業にとって中国は輸出でも輸入でも重要な貿易相手国と位置付けた一方、これまでかなりの期間、中国について再検討が行われてきたことも承知しており、同業界としても機会とリスクを見いだしているとした。その上で、ボルフガング・ベーバーZVEI理事長は「中国は、将来的にも重要な市場、生産拠点であり続ける」とし、「中国への依存を減らすということは、すなわち中国ビジネスを止めるということではない。政府は、企業に米国か中国かの選択を強いるべきではない」と警鐘を鳴らした。

ZVEIが発表した具体的な提議としては、(1)電気・電子産業にとって中国は最重要市場であること、(2)一方的な依存低減のため、販売・調達の多様化が必要で、特にアジア大洋州に可能性があること、(3)ドイツ独自ではなく、EUと共に対中産業・貿易・外交政策を進め、米国とも協調すべきこと、(4)中国企業にとってもEU市場は重要で、中国・EU双方での同一の競争条件、互恵性を求めていくべきこと、などが挙げられた。(2)について、ZVEIは韓国、シンガポール、ベトナム、インドネシアの可能性を分析しているという。

(高塚一)

(ドイツ、中国、米国、EU、韓国、シンガポール、ベトナム、インドネシア)

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