2022年の経済成長率は3.5%程度、2023年は0.5~2.5%と予測

(シンガポール)

シンガポール発

2022年11月25日

シンガポール貿易産業省(MTI)は11月23日、2022年通年の実質GDP成長率(経済成長率)予測を「3.0~4.0%」から「3.5%程度」へと絞り込んだと発表した(MTIプレスリリース11月23日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。MTIは「8月以降、エネルギー不足を抱えるユーロ圏経済や、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイク再発や不動産市場の低迷に悩む中国経済の見通しが弱まり、シンガポールの外需見通しはさらに軟化している」とし、「年末にかけて、対外経済見通しの悪化が、エレクトロニクスや化学などの外需指向型産業の成長の重荷になる」との見解を示した。

また、2023年の実質GDP成長率予測は「0.5~2.5%」とした。「多くの主要国・地域のGDP成長率は2022年水準からさらに緩やかになる」、また「混乱の程度や頻度が緩和されるとはいえ、ロシアのウクライナ侵攻の影響を引きずり、世界的な供給の混乱は2023年まで続く」とし、「シンガポールの外需指向型産業の成長は、外需環境の悪化に連動して弱まる」との見方を示した。「半導体部門は世界的な半導体需要の落ち込みにより負の影響を受けるほか、機械・システム部門は需要低迷に伴う半導体メーカーの設備投資抑制が重荷になる」としたほか、「卸売り、水運、金融・保険は、主要海外経済の減速により成長が鈍化する」とした。

2022年の財貿易見通しを上方修正

MTI管轄下のシンガポール企業庁(Enterprise SG)は同日、2022年の財貿易総額の見通しを、「前年比15.0~16.0%増」(注1)から「19.5~20.0%増」へ、非石油部門の地場輸出(NODX、注2)の2022年通年の見通しを、「5~6.0%増」(注1)から「6.0%程度増」へと、それぞれ上方修正したと発表した(シンガポール企業庁メディアリリース11月23日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。シンガポール企業庁は、「2022年第3四半期の財貿易総額は、引き続き前年同期比20%以上伸びた」ほか、「2022年上半期から伸びは緩やかになったものの、前年同期比で原油価格が上昇する中、石油貿易が成長を支えた」と指摘した。また、2022年の残りの期間についても、「前年同期比で原油価格が上昇することで、石油貿易、ひいては名目基準の貿易総額の伸びをある程度支える」との見立てを示した。

2023年は、貿易総額およびNODXいずれも「2%減~0.0%」との予測を明らかにした。2022年の高水準からの緩和と原油価格の下落を見込んだ。

(注1)2022年8月発表(2022年8月19日記事参照)。

(注2)自国生産による財輸出で、再輸出を除く。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

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