EUの次期排ガス規制「Euro 7」発表、バッテリーの耐久性基準も設けると表明

(EU)

ブリュッセル発

2022年11月11日

欧州委員会は11月10日、自動車からの大気汚染物質の新たな排出基準を定める規則案「Euro 7(ユーロ7PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))」を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUの排ガス規制はこれまで乗用車・小型商用車(バン)は「ユーロ6」、大型車(トラック、バス)は「ユーロVI」と別々の規則で定められていたが、1つの規則にまとめ、近年、増加するゼロエミッション車も含め、EU域内で販売されるあらゆる車種の全ての燃料タイプの車に同じ規制を課すとした。

EUではゼロセミッション車の販売が伸びているが、欧州委は2050年時点で、走行車両のうち乗用車・バンは少なくとも2割、大型車は半数以上が内燃機関搭載車との予測を示し、道路輸送部門の脱炭素化に向けて、さらに厳しい規制を導入する必要があるとした。窒素酸化物(NOx)の排出量については現行規則の基準値から、2035年までに、乗用車・バンは35%、大型車は56%の追加削減を求めた。規制の対象となる汚染物質も増やし、例えば乗用車・バンに対してはこれまで大型車のみだったアンモニアを、大型車に対しては新たにホルムアルデヒドと亜酸化窒素を加えた。また、ブレーキやタイヤの摩耗による粉じんに伴う汚染物質(マイクロプラスチック)の排出も新たに規制の対象とした。さらに、車の保有年数が年々、長くなってきていることから、規制に適合しなければならない走行距離や期間を延長し、乗用車・バンでは現行規則の倍となる走行距離20万キロ、販売から10年までとした。

過去の排ガス規制に対する不正事件を教訓に、デジタル技術を活用して、車が廃車になるまで、排出量を測定する車載モニターから得られるデータを基に、加盟国の管轄当局が適合性を監視するとした点も特徴的な変更点だ。

加えて、消費者のゼロエミッション車への買い替え(中古車の購入も含む)を促進するため、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車の駆動用バッテリーには高い耐久性が求められるとして、国連の自動車の安全・環境に関する世界統一基準(GTR)を考慮に入れて、バッテリーの耐久性に関する基準を規則成立ののち欧州委の委任法令で設けるとした。

欧州委はユーロ7と二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則(注)を両輪として、大気汚染の改善やゼロエミッション車への移行を進めていく方針だ。今回の規則案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。

自動車業界はコスト増大を懸念、「非現実的なスケジュールだ」とも主張

欧州自動車工業会(ACEA)は同日、声明を発表し、欧州委の提案は「車両コストを大きく増大させるものだが、環境面での恩恵は非常に限定的だ」として、「深刻な懸念を抱いている」と述べた(ACEAのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。特にトラックについて、業界のゼロエミッション化への取り組みを無視するもので、メーカーはユーロ7の基準に適合するために、脱炭素関連に向けるべき投資資金を再び内燃機関搭載車の改良に振り分ける必要が出ると批判した。

またACEAは、欧州委が規則の適用開始日を乗用車・バンは2025年7月1日、大型車は2027年7月1日と提案しているが、規則案の成立までには時間を要することが想定され、同時に適用開始以前にあらゆるメーカーの全ての車種が試験を終え、型式認証を受けることは現実的ではなく、ユーロ7の適用にあたっては非常に複雑なプロセスを踏み、関連コストが増大する可能性があると警告した。

さらに、排気管からだけでなく、ブレーキやタイヤからの粒子状物質の排出も規制対象となることについては、まず新たな試験方法を確立してから、ユーロ7とタイヤの型式認証に関する規則の両方で対象とすべきことだと指摘した。

(注)乗用車・バンについては2022年10月31日記事参照。大型車については今後、現行規則の改正案が発表される予定。

(滝澤祥子)

(EU)

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