バイデン米政権、送電網の新設・改善に130億ドルの拠出を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月22日

米国のバイデン政権は11月18日、送電網の新設・改良に助成金として130億ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資金の大部分は、インフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)で計上した予算から拠出する。今回の支出は、グリッド・レジリエンスおよびイノベーション・パートナーシップ・プログラムと呼ばれる送電網に対する投資の第1弾と位置付けられており、予算規模は連邦政府からの直接投資として過去最大の200億ドル超となっている。

中でも、民間企業などへの助成金に105億ドル、融資に25億ドルを充当される。助成金については、異常気象や自然災害に対応するための送電網の整備に25億ドル、送電容量の増加や再生可能エネルギー電力向け送電網の整備をはじめとする電力システムの効率化に30億ドル、地域間送電やクリーンエネルギーの促進に取り組む自治体向けに50億ドルが割り当てられる。他方、融資は、大規模な送電網や、州および地域をまたぐ送電網の建設資金などに充てられる。エネルギー省(DOE)は、建設された送電網の電力について、最大40年間定格容量の50%まで購入する方針だ。

DOEによると、米国の送電網の約70%は建設されてから25年以上経過しており、老朽化が進んでいる。電気自動車(EV)や暖房などの需要に対応し悪天候による停電を減らすためには、2030年までに送電網を60%拡張する必要があるという。バイデン政権は、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2005年比で50~52%削減するという国際公約を掲げており、2035年までに全ての国内電力をクリーン電力源から調達するという目標も掲げている。これらの目標を達成するためには送電網の新設・改良が不可欠で、インフラ投資雇用法で計上された予算を活用しながら、今後送電網整備への投資が本格化しそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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