日系企業、新型コロナ防疫措置の改善や社会保険料負担軽減を深セン市に要望
(中国)
広州発
2022年11月04日
ジェトロは10月26日、在広州日本総領事館と深セン日本商工会との共催により、深セン市の政府部門との間で、現地進出日系企業のビジネス環境改善を目的とした意見交換会を開催した。
同意見交換会では、新型コロナウイルスの防疫措置に関する改善要望など、日系企業から寄せられた全7分野の要望について説明し、深セン市政府の各関連部門から回答を得た。
新型コロナウイルスの防疫措置に関しては、入境者の集中隔離施設の環境改善を求める声が上がった。これに対し、共産党深セン市委員会組織部の蔡沢標副処長は「入境者数の変化に応じて集中隔離施設を確保・調整をしているため、現時点で本要望に応えることは難しい」との認識を示しつつ、「今後検討していきたい」と回答した。
このほか、防疫措置として実施されている香港~広東省を結ぶ越境輸送トラックの台数制限の緩和について要望が寄せられた。これに対し、深セン市交通運輸局の蘇偉副処長は「現行の防疫措置では、1カ月当たりの越境輸送トラックの走行台数上限を約4,000台としているが、実際の走行台数は、毎月約3,000台と上限に達していない」と回答。新型コロナウイルス流行前(2019年)の月間走行台数(約2万台)との比較で大幅に減少している点について、蘇処長は、深セン市では水路を主要な輸送方法とする物流構造改革を推進していることから、陸路から水路への切り替えが進んでいる、と説明した。また、物流企業各社が輸送効率を高めるために小型トラックの運行を減らす一方で、コンテナ専用大型トラックの活用を進めていることも台数減少の要因、との認識を示した。
このほか、養老保険の企業負担分の軽減要望について、深セン市人力資源・社会保障局養老保険処の謝華清副処長は「これまで深セン市を含む広東省の養老保険の企業負担率は、国家基準の16%を下回っていたことから、広東省政府は段階的な引き上げを実施していた」と経緯に言及。広東省政府は同負担分に関し、2022年1月より14%から15%へ、2023年1月より16%に引き上げる方針を示していた。他方、謝氏は「(企業を取り巻く昨今の情勢を踏まえ)広東省政府は、中央政府の許可を得て、2022年9月以降の同負担分を再び15%から14%に引き下げた」と説明。2022年1~8月分に関しても遡及(そきゅう)するかたちで、1%分の差額を企業に還付済みだとした。
企業の研究開発における政府補助金に関しては、申請ルートなどが明確になっていないとの指摘があった。これに対し、深セン市科技創新委員会政策法規処の庄園副処長は、「公式ウェブサイトや公式微信(WeChat)アカウントで、申請ガイドラインを掲載しており、申請条件や補助基準、必要な申請書類、提出先について明確に記載している」と回答。なお、補助額については、企業の申請金額の5%程度としているが、当該年度の予算規模や申請企業数によって多少変動があるとした。
(汪涵芷)
(中国)
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