米FRB、政策金利を4会合連続で0.75ポイント引き上げ、金融引き締めの長期化を示唆

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月04日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は11月1、2日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標3.00~3.25%を0.75ポイント引き上げ、3.75~4.00%とすることを決定した(添付資料図参照)。4会合連続で通常の3倍となる0.75ポイントの引き上げ幅となった。今回の決定は参加者12人の全会一致だった。

FRBは11月2日に出した声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「将来の利上げペースを決定する上で、FOMCは金融引き締めの累積効果や、金融政策が経済活動やインフレに影響を与えるまでのタイムラグ、経済・金融の状況を考慮する」との新たな文言を今回追加した。景気認識やバランスシート削減計画の継続方針などに関する文言は前回9月の声明文と同じだった。

ジェローム・パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「2022年第3四半期(7~9月)のGDPは2.6%(前期比)増加したが、2022年に入ってからでみれば横ばい」「個人消費は、実質可処分所得の減少や金融引き締めの影響から、前年の急激な伸びから鈍化している」「住宅部門の活動は住宅ローン金利上昇を反映して著しく弱くなった」「金利の上昇と生産高の伸びの鈍化は企業の設備投資にも重い負担となっている」と、景気が弱含みであることを認めつつ、「成長率鈍化にもかかわらず、労働市場は引き続き極めてタイト」「最近のインフレ率は予想を再び上回る結果となった」として、高インフレ圧力は続いているとの認識を示した。

今回の声明文で前述の新たな文言を追加した理由について、パウエル議長は「金融引き締めの効果が完全に発揮されるまで、特にインフレに対しては時間がかかる」ことを明らかにするためと説明している。一方で「前回会合以降に発表されたデータは、最終的な金利水準が予想よりも高くなることを示唆している」として、金利引き締めがさらに長期化する可能性に言及した。

パウエル議長は関連して、「(12月に行われる次回会合後では)同じく0.75ポイントの引き上げとなる見通しか」との質問に対して、「過去2回の会合後の記者会見で、利上げペースの減速が適切となる時期がどこかの時点で来ると述べてきており、その時が近づいている。早ければ次回、もしくは次々回かもしれない。次回の会合でこれを議論するだろう」と述べつつも、「われわれには金融を引き締め過ぎたとか、引き締めペースが速過ぎたといった感覚はない」と明確な答えは避けた。また「いつ利上げペースを緩めるかではなく、どの程度まで利上げするか、どれぐらい金融引き締めを続けるかが現在のわれわれの主要な焦点だ」「利上げ停止の議論は時期尚早」として、利上げ継続とその到達点、持続期間が今後重要となるとした。また、景気の軟着陸の可能性はあるのかという質問には、「まだ可能だと思うが、(その可能性は)過去1年で狭まった」「物価は下がっているが、期待したほどではない」「(結果として)さらに金融を引き締めざるを得ず、軟着陸に向けた道が狭くなっている」と景気後退の可能性もあることを示唆した。

(宮野慶太)

(米国)

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