中国聯通とテンセントの合弁企業、独禁法に基づく審査終了

(中国)

北京発

2022年11月16日

中国国有通信大手の中国聯通は112日、子会社の聯通創新創業投資とテンセント子会社の深セン市騰訊産業創投が設立する合弁企業について、独占禁止法に基づく国家市場監督管理総局の審査が終了したと発表した。国家市場監督管理総局のウェブサイトでは、1018日付で独占禁止法に基づく審査が終了したとしている。

合弁企業はコンテンツ配信ネットワーク(CDN)とエッジコンピューティングを主要業務とする。審査は終了したものの、現時点で企業登記はされていない。持ち株比率は聯通創新創業投資が48%、深セン市騰訊産業創投が42%、従業員持ち株が10%となる予定。

今回の合弁企業設立についての見方として、「CDNとエッジコンピューティングは広い意味でのクラウド業務に含まれる。クラウドが新型インフラとされる中で、合弁企業の業務はいずれも重要分野であり、両社のネットワークやリソース、市場、技術の優位性を発揮することが目的とみられる」といったことが報じられている(「財経E法」113日)。両社は2019年にも旅行関連業務を行う雲景文旅科技を合弁で設立している。

中国聯通は、出資構造の多元化などによって国有企業の経営改善を目指す「混合所有制改革」の対象となっている。これまで、テンセント、アリババ、京東などからの出資を受け入れており、テンセントとは2017年にクラウドコンピューティング、ネットワークセキュリティーなどで協力を宣言している。今回の合弁企業設立についても「混合所有制改革」の一環との見方があるが、工業・情報化部の管轄する通信産業報は112日の記事で、中国聯通の株主構成に変化がないことなどを挙げて否定している。

一方、テンセントについては、国有化されるのではといったうわさや報道が続いている。1024日に市場で国有通信大手の中国移動がテンセントに資本参加するとのうわさが流れたことについて、複数のメディアは、テンセントから事実ではないとの回答を得たとしている(「上海証券報」1025日、「澎湃新聞」1025日)。

また、国有コングロマリットの中国中信集団(CITIC)が南アフリカ共和国のメディア大手ナスパーズ(Naspers)保有(注)のテンセント株を購入し資本参加するとの一部報道について、ナスパーズは111日に否定する声明を発表している。

(注)2021年末時点で、ナスパーズは関係会社を通じてテンセントの株式28.86%を所有する最大株主。

(河野円洋)

(中国)

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