運輸相がEV購入者への現金給付計画を表明

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年11月30日

インドネシアのブディ・カリヤ・スマディ運輸相は1121日、2023年に電気自動車(EV)を購入する人に現金で補助金を給付する計画があることを明らかにした。同日に出演したテレビ番組の中で言及した(1122日「BeritaSatu」)。補助金額など詳細については議論中だとして明言を避けた。

また、同大臣はEVを購入する利点として、走行時のノイズが少なく滑らかなことや、毎日かかる費用が安いこと、ナンバープレートの奇数偶数規制(注)がEVには適用されないこと、ジャカルタ特別州ではEV利用者の駐車料金に関する特別料金が提供されることなどを挙げた。二輪車利用者に対しても、電動バイクの価格は通常のバイクと比べても安いとして、電動バイクに切り替えを進めるよう呼びかけた。

10月単月で2,000台のEV販売、大半は中国ブランド

インドネシア自動車産業協会(GAIKINDO)のデータによると、10月のバッテリー式EVBEV)の販売台数は2,157台で、その76%に当たる1,629台を中国・五菱(ウーリン)が販売する「Air ev」モデルが占めている。同は111516日にバリで開催されたG20サミットでも公式自動車パートナーに認定され、300台が提供された(1122日ウーリン社ウェブサイト)。インドネシア国内での知名度を高めつつある。

写真 中国・五菱(ウーリン)がインドネシアで販売する「Air ev」(ジェトロ撮影)

中国・五菱(ウーリン)がインドネシアで販売する「Air ev」(ジェトロ撮影)

GAIKINDOによると、日本企業の対応を巡っては、ジョコ・ウィドド大統領が1112日、第25ASEAN首脳会議で「日本はインフラとグリーン産業に大きな能力を持っている。潜在的なセクターの1つとしてEVエコシステムの開発がある。EV製造とバッテリー生産への投資を増やすよう勧める」と期待を示している。

トヨタ自動車のインドネシア法人トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)は1121日、ハイブリッド仕様車(HEV)の新車種「Kijang Innova Generasi 7 Zenix」を世界に先駆けて公開した。西ジャワ州カラワンの同社工場で初年度に最大8,500ユニットの生産を目指す。同社のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ワリ・アンダン・チャフヨノTMMIN社長は同車種の生産開始について「インドネシアの自動車産業発展に貢献し続けるための私たちの努力だ」とし、「この電動化の時代に、ますます多様化する顧客のニーズに応えることができるようにしたい」と述べた。

(注)ジャカルタ首都圏などでは渋滞対策の一環として、混雑する時間帯を対象に、ナンバープレートの下1桁が偶数か奇数かによって、主要道路の通行可否を定める制度を導入している。

(尾崎航)

(インドネシア)

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