山東省、RCEP協定適用輸出貨物の9割以上が日本向け

(中国、日本)

青島発

2022年11月09日

中国・青島税関の発表によると、山東省における2022年1~9月の「地域的な包括的連携(RCEP)協定」利用のための原産地証明書の発給件数(注1)が合計10万8,000件に達し、全国首位となった(「中国新聞網」10月3日)。同協定の利用が加速している。同協定が適用された輸出貨物の総額は306億元(約6,120億円、1元=約20円)に達し、関連企業は協定加盟国との間で3億元超の関税減免を享受している(同)。

地域別・品目別で状況をみてみる。山東省でRCEP協定が適用された輸出貨物のうち、日本向けの割合が9割以上を占め、また主に織物・衣料品、農林水産品、化学工業品、プラスチック製品を扱う企業が特に関税減免を享受している(「中国山東網」10月18日)。

また、RCEP協定の利用を推進するために導入された「認定輸出者自己証明制度」(注2)が本格的に実施されており、2022年に青島税関、済南税関が認定した輸出事業者は52社で、関連企業は2,327件の原産地証明書を発給し、特恵税率が適用された輸出貨物の総額は8億元を超えた(同)。

一方で、山東省への輸入についても、RCEP協定の活用が積極的に進められている。中国海関総署は10月25日、青島税関と済南税関が2022年1~9月に合計46億7,000万元の輸入貨物に対して、RCEP協定に基づく特恵税率を適用したと発表した。同輸入関税の減免額は2億3,000万元となった。また、化学産業の集積が進む山東省裕龍島の原油精製プロジェクトで、日本から輸入した3億元超の設備にRCEP協定を活用することで、2,000万元超の関税削減効果があったという。なお、同プロジェクトにおいて、同協定利用のための原産地証明書は貨物到着から3カ月後の入手だったため、関税優遇を優先するために原産地証明書の到着を待つと、工期を守ることができないという問題があった。これに対し青島税関は、原産地証明書を取得していない輸入貨物について、担保提供による通関を実施し、事後的に原産地証明書を提出することでの優遇税率適用を可能とした。このように、青島税関は主要産業や重点プロジェクトに係る企業に対し、RCEP協定の優遇を享受できるようなプラン設計など事前対応サービスを実施するなどして、より多くの企業がRCEP協定を活用できるように支援している。

(注1)青島税関、済南税関、中国国際貿易促進委員会山東省委員会のシステムを通じて発給した件数。

(注2)認定を受けた輸出者自ら原産地証明を作成することを認める制度。

(董玥涵)

(中国、日本)

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