山東省済南市で新型コロナ感染が拡大、日系企業には自衛策を講ずる動きも

(中国)

青島発

2022年11月30日

中国の山東省済南市では、新型コロナウイルスの感染が拡大している。済南市衛生健康委員会の発表によると、市内における11月29日午前0時時点の感染者数は321例、無症状感染者数は2,679例となった(注)。また、11月29日時点で、市内の高リスク地域は2,378カ所だった。

同市が11月22日に発表した防疫対策に係る通知によって、学校やホテル、商業施設、スーパーマーケットなどへの入場、地下鉄やバス、タクシーなどの利用にあたり、24時間以内に実施したPCR検査の陰性証明が必要となったほか、市内の映画館・劇場、カラオケ、美容院、ネットカフェ、バー、スポーツジムなどの室内娯楽施設はすべて営業停止になった(「瀟湘晨報」11月23日)。

また、同日午後に開かれた記者会見によると、済南市歴下区、市中区、槐蔭区、天橋区、歴城区、済南ハイテク産業開発区などの市内中心区域では、飲食店での店内飲食が禁止となった(同)。

済南市内に工場を有する複数の日系企業によると、11月28日時点で現地政府から都市封鎖のような広域的な操業・生産停止の指示は出ておらず、材料の搬入、製品の出荷といった物流面にも大きな影響は生じていないとのことだった。一方、今後、自社工場内で陽性患者が発生した場合に緊急封鎖措置が講じられるリスクや、居住地から従業員の出勤が制限されることで操業が立ち行かなくなるリスクを想定し、外部から遮断されたクローズドループ方式の管理などへの移行を自主的に進める日系企業も出てきている。

多くの日系企業が所在する山東省青島市でも感染が拡大している(2022年11月14日記事参照)。山東省全体として感染者は増加傾向にもあり、省内各地でも予断を許さない状況が続いている。

(注)輸入感染者数は含まない。

(赤澤陽平)

(中国)

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