マクロン仏大統領、COP27で途上国への資金支援強化を訴え

(フランス)

パリ発

2022年11月11日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は11月7日、エジプトで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の首脳級会合で「ロシアのエネルギーの脅威にさらされても、われわれは気候変動対策を放棄してはならない」と述べ、各国に目標達成に向け努力を継続するよう訴えた(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。フランスはEUが掲げる2030年の温室効果ガス55%削減目標の達成に向け、省エネ、再生可能エネルギーおよび原子力発電の開発の加速の3つに重点を置いた政策を進めることを表明した。

マクロン大統領は、EUに限らず、すべての先進国は石炭依存からの脱却努力を続ける必要があると同時に、新興国の脱炭素化に力を貸すべきだとし、南アフリカ共和国の脱石炭戦略に10億ユーロ投資するほか(注1)、インドネシア、インド、セネガルでも脱炭素化支援を行う方針を示した。

また、気候変動対策と生物多様性保全は表裏一体の課題だと述べ、最貧国による原生林、泥炭地、マングローブ林、湿地など重要な生態系の保全努力を支援するメカニズムの構築に取り組むことを約束した(注2)。海洋生物の多様性保護に向けては、深海底資源採掘の全面禁止を支持することを表明した。

国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15、コペンハーゲン)で合意した、先進国全体で途上国に毎年、年間1,000億ドルの資金援助を行う目標について、支援金は820億ドルにとどまっていると述べた。早期に目標を達成しなければ、先進国と途上国の間の信頼関係が失われるとし、資金援助を果たしていない先進国に拠出を呼び掛けるとともに、IMF、世界銀行、OECDに対し、2023年春にも具体的な資金支援メカニズムを提案するよう要請した。

(注1)フランスは2021年11月に英国グラスゴーで開催されたCOP26で、南アフリカ共和国の脱炭素化に向けた「公正なエネルギー移行パートナーシップ」への参加を表明していた(2021年11月19日記事参照)。

(注2)大統領府の発表によれば、マクロン大統領の発議と米国、中国の協力により11月7日にアフリカ、アジア、南米の首脳、政府代表者らを招いて行われた生物多様性と炭素貯留の保全に関わるサイドイベントで、生物多様性保全を支援するパートナーシップの構築について協議が行われ、コロンビア、ガボン、フィリピンが同イニシアチブへの参加を決めた。

(山崎あき)

(フランス)

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