米環境保護庁、新たなメタンガス削減案発表、2005年比で87%削減目指す

(米国、エジプト、英国)

ニューヨーク発

2022年11月15日

米国環境保護庁(EPA)は11月11日、石油・天然ガス産業から排出されるメタンガスを削減する新たな規制案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日にエジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)にジョー・バイデン米大統領が登壇し、今回の規制案を紹介するとともに、各国にさらなるメタンガス削減の必要性を訴えた(2022年11月15日記事参照)。

新たな規制案は、2021年11月に発表した規制(2021年11月4日記事参照)を強化する内容で、これまでは年間3トン以上のメタンガスを排出する油田・ガス田を対象に合計30万カ所で四半期ごとにメタンガスの漏出がないか点検するなどの規制だったが、今回はこれに加えて、適切に閉鎖されるまでの期間に全ての坑井でガス漏れがないか定期的に監視することを求める。さらに、メタンガス排出削減のため、フレアリング(余剰ガスの焼却処理)装置を適切に操作するための要件を改定するとともに、メタンガス漏出があった場合に迅速にそれを感知し、早期に装置を修理することも盛り込んだ。今回の規制案は2023年2月13日までパブリックコメントを募集し、2023年中に最終案をまとめる方針としている。

EPAによると、今回の規制によって2030年にメタンガスは2005年比で87%削減されるとしている。メタンガスは強力な温室効果があることで知られ、EPAは、メタンガスは二酸化炭素(CO2)の約80倍の温室効果があり、現在発生している温室効果ガス(GHG)による温暖化の約3分の1はメタンガスによるものだとしている。今回の規制案で2023年から2035 年までに約3,600万トンのメタンガス排出を削減でき、これは8億1,000万トンのCO2排出量に相当するとしているほか、350万世帯の冬期の暖房を賄うのに十分な量の天然ガスが回収できるとしている。

2021年に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、米欧を中心とした100カ国・地域以上が合意したメタン排出削減目標「グローバル・メタン・プレッジ」では、2030年までにメタンガス排出量を2020年比で30%の削減が目標に掲げられており(2021年9月21日記事参照)、米国は今回の規制案でこの目標達成に寄与したい考えだ。

(宮野慶太)

(米国、エジプト、英国)

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