ロシアのウクライナ侵攻、在欧日系企業の約8割にマイナスの影響

(欧州、ロシア、ウクライナ)

欧州ロシアCIS課

2022年11月07日

ジェトロが9月1~26日に欧州に所在する日系企業に対して実施したアンケート調査結果(注)によると、ロシアのウクライナ侵攻は77.0%の在欧日系企業の事業に「マイナスの影響」を与えたことがわかった。その傾向は特に製造業で83.7%と顕著だった。「マイナスの影響」の回答割合が高かった日系企業の所在国は、ベルギー(92.5%)、フランス(87.5%)、スペイン(86.2%)だった。

「マイナスの影響」は、製造業を中心に回答の割合が9割を超えた業種もあった。ウクライナからの穀物輸出減少に伴う原材料価格の上昇などの影響があった「食品/農水産加工品」、エネルギーや原材料・部品のコスト高やロシア事業の縮小・停止の影響を受けた「自動車/二輪車」が含まれた。

ウクライナ侵攻が事業に与えた「マイナスの影響」の具体的内容の上位は、エネルギー価格の上昇」「原材料・資源価格の上昇」「物流の混乱・停滞」となった。

ウクライナ侵攻をふまえた調査実施時点での対応策は、「販売先への価格転嫁」(50.5%)、「調達先の多様化」(27.5%)が上位だった。製造業に絞れば、「在庫の積み増し」の対応策をとる割合(29.4%)が、「販売先の開拓」(18.2%)を上回った。業種別にみると、「販売先への価格転嫁」を選んだ割合は、「窯業/土石」が100.0%と最高で、高騰する石油を原材料とする「プラスチック製品」(85.7%)と「ゴム製品」(75.0%)でも高かった。

懸念点(自由記述)として最も多く挙がったのは、事業に与えた「マイナスの影響」の具体的内容と同じく、「エネルギー価格をはじめとする各種コストの上昇・高止まり」だった。そのほか、戦争の終結時期や対ロシアビジネスの再開可能時期などのめどが立たないといった「長期化、先行き不透明」、および「戦線の拡大、核兵器使用や原発への攻撃」などの懸念が示された。

(注)欧日系企業1,445社を対象に2022年度海外進出日系企業実態調査(欧州編)を実施し、857社より有効回答を得た(有効回答率59.3%)。その一部結果を速報としてとりまとめたもの。結果詳細はプレスリリース参照。

(上田暁子、森友梨)

(欧州、ロシア、ウクライナ)

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