カナダ政府、エクアドルとFTA締結に向けた予備的交渉開始へ

(カナダ、エクアドル)

米州課

2022年11月28日

カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出促進・中小企業・経済開発相は11月24日、太平洋同盟(注1)首脳会合出席のため訪問したメキシコで、エクアドルのフリオ・ホセ・プラド生産・貿易・水産相と会談し、両国間の自由貿易協定(FTA)締結に向けた予備的交渉を開始すると、共同声明で発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

エクアドルとのFTA予備的交渉開始に関するカナダ政府のニュースリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、カナダのアプローチをまとめるべく、国際関係省が今後数週間にわたり国内の意見を集約してゆく予定となっている。また、エクアドルは今後、両国の企業により多くの機会を提供すべく、12月上旬にはオタワのエクアドル大使館内に新しい貿易事務所を開設する。

ニュースリリースによると、2021年の両国間の貿易額は9億5,250万カナダ・ドル(約991億円、Cドル、1Cドル=約104円)に到達し、以降も拡大している。貿易面では特に農産物で相互補完関係にあり、エクアドルからカナダにはトロピカルフルーツ、花、カカオ、魚介類、カナダからエクアドルには小麦、レンズ豆、エンバク、大麦、エンドウ豆が主に輸出されている。カナダのエクアドルへの直接投資額も、貿易同様に2015年比で約4倍に増加し、2021年には37億Cドルに達している。カナダはエクアドルにとって最大の投資国となっており、その投資は主に資源採掘部門に向けられている。

エング国際貿易相は、カナダ政府は南米の民主主義の国々との貿易や人的関係を強化しているとしており、「FTAの可能性の模索を通じて、カナダの企業や労働者へ向けさらに多くの機会を創出できることを楽しみにしている」と述べている。

ニュースリリースはまた、エクアドルが2021年12月に環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加盟申請を行った(2022年1月11日記事参照)ことにも触れ、カナダ政府はエクアドルの申請を歓迎するとしている。カナダはこのほかにも、エクアドルが加盟する、包摂的な経済成長を促進し民主主義を強化する地域イニシアチブ「民主主義開発同盟(Alliance for Development in Democracy:ADD)」(注2)との戦略的対話を通じても同国と関与している。

カナダ政府がエクアドルとのFTA締結を目指す動きについて、カナダのメディアでは「米国や中国への貿易依存度を低減しようとするカナダ政府の最新の試み」などと報道されている(「フィナンシャル・ポスト」紙11月24日)

(注1)太平洋同盟は、2011年4月にメキシコ、コロンビア、ペルー、チリが設立し、加盟国間の経済的統合とアジア太平洋地域との政治経済関係の強化を目標とする組織。エクアドルは加盟を目指しており、カナダはオブザーバー国(全59カ国)兼準加盟候補国(全4カ国)の1つとなっている。なお、当初11月23~25日に開催予定だったメキシコでの第17回太平洋同盟首脳会合は中止となった(2022年11月24日記事参照)。

(注2)民主主義開発同盟は、2021年9月の第76回国連総会の枠組みの中で結成された組織で、米国、カナダ、スペインなどの政府の支援を受けている。コスタリカ、ドミニカ共和国、パナマが創設メンバーで、2022年6月にエクアドルが正式加盟した。

(高山さわ)

(カナダ、エクアドル)

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