エネルギー大手RWE、220MWの蓄電池電力貯蔵システムへの投資を決定

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2022年11月24日

ドイツのエネルギー大手RWE117日、ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州における220メガワット(MW)規模の電池電力貯蔵システムへの投資を決定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと発表した。約14,000万ユーロを投資し、ノイラート市とハム市のRWEの発電所において、合計690台のリチウムイオン電池ブロックを設置する。容量はノイラート市のものが合計80MW、ハム市が合計140MWとなる。現在審査中の建設許可が下りる時期次第だが、2023年に建設を開始し、2024年に運転開始を予定している。

蓄電池への電力貯蔵システムは、再生可能エネルギー(再エネ)への転換において重要な役割を果たす。再エネによる発電は電力の需給バランスを保つことが難しいため、電力供給過剰の際に電力を蓄電池にため、必要な時に再供給するシステムが必要になる。RWENRW州に設置するシステムは、出力が必要になった際に瞬時に反応し、1時間以上必要な電力を供給できる。これにより信頼性の高い電力供給による、電力網の安定化に効果的に貢献できる。同システムの独自の特徴は、蓄電池がRWEのドイツ国内の発電所と仮想的にネットワーク化されていることだ。このため、各ユニットを適切なタイミングで単独または組み合わせて最適に管理が可能だ。RWEはプロジェクトの詳細設計、モデリング、システムインテグレーション、運用を自社で行い、エネルギー貯蔵に関する技術的な能力を強化する。

なお、RWEは欧州、オーストラリア、米国において蓄電池電力貯蔵システムを開発・設置・運営している。2022年にアイルランドで60MWの蓄電池電力貯蔵システム、米国ジョージア州で太陽光発電所と統合された40MWの蓄電池電力貯蔵システムの運転を開始した。ドイツでは現在、モーゼル川の流れ込み式水力発電所と仮想的に接続された117MWの蓄電池電力貯蔵システムの運転開始が目前だ。現在、ドイツ国内で合計約150MW160メガワット時(MWh)〕、全世界で800MW1,800MWh)以上の容量を持つ蓄電池電力貯蔵システムを運営している。2030年までに3ギガワットへの拡大を目指している。また、RWEは使用済みの電気自動車用畜電池や全液体電池(レドックスフロー電池)を再利用する電力貯蔵システムのプロジェクトも行っている。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

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