新型コロナワクチン5回目の接種を開始、接種率の停滞に懸念も

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年11月16日

アルゼンチン保健省は1029日、新型コロナウイルスワクチンの3回目ブースター接種を全国で開始したと発表した。今回は5回目のワクチン接種となる。接種対象者は最後の接種から120日が経過している者だが、50歳以上と免疫不全者を優先している。

ブエノスアイレス市では、1回目と2回目に中国製シノファームのワクチンを接種した50歳以上、免疫不全者などの5回目接種を20227月に開始していた(2022719日記事参照)。また、同市では11月から、これまで接種したワクチンの製造元を問わず、50歳以上や免疫不全者などを対象に、5回目、さらに6回目接種を行っていると複数の現地紙が報じている(20221110日付「エル・クロニスタ」紙電子版ほか)。

カルラ・ビソッティ保健相は「新型コロナウイルスは季節性のウイルスとは異なり、季節に関係なく、夏でも感染者が増えることが確認された。ワクチン接種を継続することで重症化や死亡のリスクを下げていきたい」と述べた。

保健省によると、1030日から115日までの1週間の全国の新規感染者は1,357人、死者数は12人と少ないが、累計死者数は13万人を超えた。また、同省は、2,176万人以上が1回目のブースター接種、約617万人が2回目のブースター接種をしたと発表している。しかし、米国のモデルナは「これらの数字から、約1,500万人のアルゼンチン人が1年間にわたってワクチンを接種していないことが判明している」と、1110日付国営テラム通信のインタビューで指摘している。同社の責任者はブースター接種率が低いことを「非常に懸念する」と述べている。

写真 新型コロナで亡くなった人たちを追悼する大統領府前の石積み(ジェトロ撮影)

新型コロナで亡くなった人たちを追悼する大統領府前の石積み(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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