米CVSとウォルグリーン、オピオイド訴訟でそれぞれ約50億ドルの和解金支払いに合意

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月04日

米国の薬局チェーン大手CVSヘルス(本社:ロードアイランド州)とウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(同:イリノイ州)は11月2日、鎮痛剤オピオイドの処方を巡り、州や郡などの行政機関が起こした両社に対する訴訟に対し、和解金としてそれぞれ約50億ドルを支払うことに同意したと発表した。CVSの支払期間は2030年から10年間、ウォルグリーンは15年間となる。今回の和解に参加した州などの詳細は不明だが、これまで両社に対しては、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、ケンタッキー州などを含む州や自治体がオピオイドの大量消費を助長し、地方自治体の経済や社会に影響を与えたなどとして、訴訟を起こしている。

オピオイドは一定以上の疼痛(とうつう)を伴う疾患に対し、医療機関で処方される医薬薬だ。しかし、常習性が強く、長期の服用や多量摂取で依存症を引き起こし、最悪のケースでは死に至るといった深刻な副作用を伴うと指摘されている(2019年9月17日付地域分析レポート参照)。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、米国の2021年のオピオイドによる死者数は約8万人で、前年比で17.2%増加した。これまでオピオイドを巡っては、州など地方自治体が製薬会社に対する訴訟を起こしており、米国ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下のヤンセン・ファーマシューティカルズなどは複数の州に対し、合計で260億ドル、同アラガンやイスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズもそれぞれ数十億ドルの和解金を支払うことで合意したと報じられている。

今回の和解に際し、CVSのトーマス・モリアーティ最高政策責任者兼法律顧問は「われわれは州、地方自治体、先住民と協力することを約束し、処方オピオイドの違法使用を減らすために、重要なイニシアチブを継続する」と述べた。同社が行っているイニシアチブには、処方薬の乱用を防止する教育や、オピオイドの盗難防止策などが含まれる。ウォルグリーンも、全国の同社約9,000店舗で、オピオイドの過剰摂取の対応薬ナロキソンが入手できるようにすると述べた。

(大原典子)

(米国)

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