韓国とシンガポール、デジタル協定に署名

(韓国、シンガポール)

シンガポール発

2022年11月24日

シンガポールのタン・シーレン第2貿易産業相と韓国のアン・ドックン通商交渉本部長は11月21日、「韓国・シンガポール・デジタルパートナーシップ協定」(Korea-Singapore Digital Partnership Agreement、KSDPA)に署名した。KSDPAは2020年6月に交渉開始が宣言され、2021年12月に実質的に妥結していた(2021年12月21日記事参照)。

KSDPAにより、韓国・シンガポール自由貿易協定(FTA)の第14章「電子商取引」の規定がKSDPA付属書Aに定める「デジタル経済」に置き換えられる(KSDPA第3条)。その結果、「デジタル経済」章には、(1)エンド・ツー・エンドのデジタル貿易を促進する「電子決済」と「貿易に係る文書の電子化」、(2)信頼できるデータフローを実現する「越境データフロー」「コンピューター関連設備の設置要求の禁止」「オープンガバメントデータ」、(3)デジタルシステムに対する信頼とデジタル経済への参加を促進する「人工知能(AI)」「暗号資産」「ソースコード保護」「オンラインの消費者の保護」「中小企業協力」「デジタル署名」などの規定が盛り込まれた。

KSDPAは韓国にとって初のデジタル分野に特化した協定となる。他方で、シンガポールはこれまで、チリとニュージーランドとの間のデジタル経済パートナーシップ協定、オーストラリアとのデジタル経済協定(DEA)、英国とのDEAが発効している。KSDPAによると、同協定の効力発生に必要なそれぞれの国内法上の手続が完了したとの書面による通知を交換する日の30日目に効力が生ずる(KSDPA第5条)。

なお、冒頭の両氏は同日、KSDPAに加えて「韓国・シンガポール・デジタル経済対話の実施に関する覚書(MOU)」に署名した。両国間のデジタル経済協力を促進するプラットフォームとして、デジタル貿易に関する議論を促進し、両国のデジタル産業の国際競争力を強化するとともに、双方の関係者が相互に有益なビジネスチャンスを模索することを目的としている。

(朝倉啓介)

(韓国、シンガポール)

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