韓国政府、シンガポールとのデジタルパートナーシップ協定交渉を妥結、CPTPP加盟支持も要請

(韓国、シンガポール)

ソウル発

2021年12月21日

韓国の産業通商資源部は12月15日、ヨ・ハング通商交渉本部長とシンガポールのタン・シーレン第2貿易産業相との間で、韓国として初の「韓国・シンガポール・デジタルパートナーシップ協定」(Korea-Singapore Digital Partnership Agreement、以下「DPA」)(注1)の交渉妥結を宣言し、共同声明に署名した(注2)。

韓国政府はシンガポールとのDPAに期待する効果として、(1)電子商取引(EC)プラットフォームの活用や貿易手続きの電子化による中小・スタートアップ企業の貿易開始にかかる負担軽減と、シンガポールを中心としたASEAN市場への進出機会拡大(注3)、(2)2国間のデジタル協力に関する条項を盛り込むことによる人工知能(AI)、フィンテックなど新技術分野での協力強化、などを挙げた。

今後は、DPAの協定文と国内法の適合性などの確認を行い、正式署名に向けた手続きを進める。これに加え、DPAに基づく協力事業に関する実施機関間の覚書(MOU)締結を進める予定だ。

さらに、ヨ通商交渉本部長は同日、シンガポールのガン・キムヨン貿易産業相と会談し、韓国の環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟について積極的な支援を要請し(注4)、シンガポール側も韓国のCPTPP加盟に関し歓迎の意を表明したとした。

(注1)一般的にDPAは、インターネットなど電子的方法で行われる国・地域間貿易に対する規範。電子商取引の円滑化、デジタルビジネスの活性化、デジタル製品への関税不賦課や無差別化、電子商取引に関する消費者保護、サイバーセキュリティの確保などが含まれる。

(注2)2020年6月の交渉開始宣言以降、10回の交渉を行い、今回の交渉妥結に至った。

(注3)シンガポールのEC大手のラザダやショッピーなどはASEAN地域で広域ネットワークを有しているため、同国のECサイトを通じた韓国食品や化粧品などのASEAN向けの輸出拡大に期待がかかる。

(注4)2022年はシンガポールがCPTPP議長国。

(当間正明)

(韓国、シンガポール)

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