アフリカ金融市場指数ランキング発表、南アが首位

(アフリカ、南アフリカ共和国、モーリシャス、ナイジェリア、ガーナ)

中東アフリカ課

2022年11月08日

南アフリカ共和国の金融機関アブサ・グループと英国のシンクタンクである公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)は、10月13日にアフリカの金融市場指数(Africa Financial Markets Index)の2022年のランキングを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。指数は、市場の深さや外国為替へのアクセスなど6つの項目について、アフリカの26カ国の金融市場の成熟度や開放性のレベルを評価したもの。2022年は前年に引き続き、総合順位で1位が南ア、2位がモーリシャス、3位がナイジェリアとなった。ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、11カ国が資本逃避やインフレ、金融引き締めなどで懸念があり、ガーナが特に影響が大きく4位から7位に後退した。各項目に係るポイントは以下のとおり。

〇市場の深さ

  • 国際金融市場の不安定さの影響を受け、多くの国で対ドル為替レートが悪化し株式市場は縮小。7カ国で大型案件の情報があったため時価総額が増加したものの、全体では、2021年6月~2022年6月の1年間で時価総額は前年比13%縮小(2,100億ドル)。社債も同様に25%減し、ソブリン債は2022年に5%増加した。ガーナは例外的に、投資家による財政状況への懸念や高インフレ、金融引き締め策により、評価額が目減り。

〇外国為替へのアクセス

  • ウガンダ、モロッコ、ナイジェリアでインターバンク市場における外貨流動性が改善し、取引が活発化。各国の外貨準備高は、2021年はIMFの特別引出権により増加しつつも、新型コロナからの経済回復に伴い輸入が増加し、輸入カバー率は悪化。

〇市場の透明性と市場規制

  • 17カ国でESG関連商品が導入。税制面では、モーリシャスとモロッコが高評価で、利子および配当に係る源泉所得税が低い点や、40以上の二重課税防止協定を有する点などを評価。一方、ガーナはE-levy導入(注)などを受け低評価。

〇現地投資家の能力

  • 年金基金の資産総額はドルベースで前年比11.2%減少。1人当たり年金資産額はナミビア、ボツワナ、モーリシャスの順に大きいが、いずれも減少。モーリシャスは前年比27%減。

〇潜在的なマクロ機会

  • 2017~2021年と2022~2026年のそれぞれ5年間の平均GDP成長率では、南ア、アンゴラなど南部アフリカが低成長の予測。GDPにおける対外債務比率では、2021年は2020年よりも改善するも、新型コロナ前には届かず、厳しい状況。
  • 消費者物価指数は、2022年は2021年より大幅な上昇。特にガーナ、マラウィ、エジプトなどで急激な上昇。2021年6月~2022年6月の間に、21カ国が利上げを実施。

〇国際金融協定の法的強制力

  • 南アとナイジェリアで広く標準的なマスター契約が使われ、ガーナ、ウガンダやエチオピア、ルワンダなどでも国際的なルールの適用に向けた取り組みが進む。

(注)100ガーナ・セディ(約1,100円、1セディ=約11円)以上の電子取引すべてに1.5%の課税を行う法案が2022年5月1日に議会で承認。ガーナ国内でも賛否両論の物議を醸している。

(佐藤丈治)

(アフリカ、南アフリカ共和国、モーリシャス、ナイジェリア、ガーナ)

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