英国とシンガポール、金融分野の優先課題について議論

(英国、シンガポール)

ロンドン発

2022年11月28日

英国財務省とシンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は11月25日、「第7回英・シンガポール金融対話」を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両国は2021年に合意したフィンテック分野の関係強化(2021年7月6日記事参照)に基づき、サステナブルファイナンス、フィンテック、イノベーションの優先課題について議論。さらに、2022年2月に署名した両国間のデジタル経済協定(DEA、2022年3月1日記事参照)と自由なデータの流れという原則の重要性を認識した。

また、フィンテック分野のさらなる協力として「フィンテック・ブリッジ(FinTech Bridge)」の覚書(MoU)に合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。覚書では決済やレグテック(注1)、ウェルスマネジメント(注2)の分野の継続的な成長、投資、技術革新の支援を目指す。両国はフィンテックに関する協力関係の深化と、金融包摂(注3)、技術革新の強化、消費者体験の向上に関連して協力する機会を強く歓迎した。

サステナブルファイナンスでは、パリ協定で定められた「1.5度目標」達成に向けた移行ファイナンスの重要性を認識したほか、国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)の開示基準の運用に向けたコミットメントも確認、気候変動関連の財務情報開示の段階的導入についてもコミットした。さらに、グリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)対策とESG(環境・社会・ガバナンス)の評価に関する監督に当たり、両国規制当局間で国際的かつ連携の取れたアプローチを検討することで合意した。

イノベーションでは、暗号資産について、デジタル資産に伴うリスクを確実に管理しつつ、エコシステムの安全な発展を支援する必要性について合意。また、金融安定理事会(FSB)などの国際的な場での取り組みを通じ、安定した規制慣行の形成に引き続き参画するとしている。

両国は世界有数のフィンテック投資国

英国フィンテック団体イノベート・ファイナンスの報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両国はフィンテック分野で世界有数の投資受け入れ国だ。同報告書によると、2022年上半期の同分野における英国への投資額は前年同期比24%増の91億ドルと、251億ドルの米国に続いて2位。シンガポールも21億ドルで、インド(39億ドル)、ドイツ(24億ドル)、フランス(23億ドル)次ぐ6位となっている。

(注1)規制(Regulation)と技術(Technology)を組み合わせた用語。

(注2)個人が保有する資産を管理するサービス。

(注3)国民全員が基本的な金融サービスを受けられること。

(島村英莉)

(英国、シンガポール)

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