米国中西部、干ばつが穀物の河川輸送に影響

(米国)

シカゴ発

2022年11月08日

全米統合干ばつ情報システム(National Integrated Drought Information System)が11月1日に更新した干ばつモニター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(The U.S. Drought Monitor)によれば、中西部を含むグレートプレーンズや西海岸で干ばつが深刻な状況となっている。干ばつモニターでは、降水量や気温を基に算出された全米の干ばつ状況が地図上で表示される。

米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Agency)によると、中西部のいくつかの地域では、ここ2、3年にわたって、干ばつの状態が続いており、特にミズーリ川流域とグレートプレーンズが深刻な状況という。この影響で、ミシシッピ川とその支流のミズーリ川、オハイオ川の水位が現在記録的な低さとなっている。水位の減少により、船は座礁を避けるため積荷量の減少や交通を制限されるといった影響を受けており、中西部河川の水運量はほぼ半減している。11月もミズーリ州などの米国中西部で平均以下の降雨量になる可能性が高いとのことだ。

米国農務省チーフエコノミストの気象学者ブラッド・リッペイ氏によると、この時期は、トウモロコシやオイルシードがミシシッピ川河口のニューオリンズ港から輸出される時期で、米国産の穀物の約60%がニューオリンズ港を経由して輸出される。しかし、干ばつの影響により「河川輸送は45~50%減少する見通しであり、河川の水位が上がるまで、穀物はサイロや駐車場に積み上げられるか、トラックや鉄道で出荷されることになり、いずれも時間がかかり効率も悪くなる」という(「コートハウス・ニュース・サービス」10月31日)。

トウモロコシの収穫は、10月30日時点では全米平均で7割程度にとどまっている。今後も収穫が続くが、このまま米国内の穀物輸送が滞ればトウモロコシの供給に遅れが生じ、国際市場への影響も必至だ。実際、日本のトウモロコシの輸入額は、米国産が約7割を占めていることから、輸入トウモロコシの用途の畜産向け飼料などの供給にも影響が出る可能性もあり、今後の動向を注視する必要がある。

(冨樫達也)

(米国)

ビジネス短信 1711af19565888e1