政府が企業向けエネルギー価格支援措置を公表

(フランス)

パリ発

2022年11月01日

フランス政府は10月27日、エネルギー価格高騰に伴う企業や自治体向けの支援措置を公表した。総額120億ユーロのうち、自治体向けが25億ユーロ、残りの約100億ユーロが企業向けとなる。2023年度政府予算法案に修正案の形で追加して施行する方針で、発電事業者から徴収する超過収益を財源に充てることから、財政赤字は拡大しないと説明した(2022年10月11日記事参照)。

経済・財務・産業およびデジタル主権省の発表資料によると外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、従業員が10人未満で年間売上高が200万ユーロ未満の零細企業のうち、電力の契約容量が36キロボルトアンペア(kVA)に満たない企業は2023年も引き続き、一般世帯向けエネルギー価格抑制措置(2022年9月16日記事参照)の適用対象となる。

電力の契約容量が36kVAを超える零細・中小企業については、2023年から市場価格に連動した電力料金(注)が1メガワット時(MWh)当たり325ユーロを超える契約を締結または更新する場合、消費電力量の25%について国が市場価格(上限1MWh当たり800ユーロ)と契約価格の差額を肩代わりする制度を導入する。経済・財務・産業およびデジタル主権省によると、同措置により適用企業の電力料金は1MWh当たり最大で約120ユーロ軽減される。

中堅企業と大企業向けには、2022年7月に適用を開始した燃料費の支援措置を2023年も継続して施行する。同時に、適用条件が複雑で申請する企業が少ないとの反省を踏まえ(2022年10月11日記事参照)、11月末までに欧州委員会の承認を得て適用条件を緩和し、利用しやすいようにする。

政府はまた、自治体向けにも2023年に25億ユーロの支援措置を適用してエネルギー価格の抑制を図ると説明した。

(注)電力卸売価格は、市場価格と「原子力発電電力への規制アクセス制度(ARENH)」による規制価格に分かれる。ARENHは民間の電力小売事業者がフランス電力(EDF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの原子力発電電力を公定価格で調達できる制度で、EDFは同制度の枠内で年間100テラワット時(TWh)を上限に1MWh当たり42ユーロの公定価格で取引している。EDFによると、通常は消費電力量の70~80%がARENHを通じた調達分となる。

(山崎あき)

(フランス)

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