フランス政府、電力卸売価格に上限を設定予定

(フランス)

パリ発

2022年10月11日

フランスのブリュノ・ル・メール経済・財務・産業デジタル主権相は10月5日、エネルギー供給事業者との協議後の記者会見で、同事業者らがエネルギー危機に直面する消費者支援に向けた25項目の憲章外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに調印することを約束したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。エネルギー価格が高騰する中、一部のエネルギー供給事業者による一方的な料金の引き上げや不透明な契約締結などの不当行為の増加に歯止めをかけるのが狙い。

同相は、2023年1月末までに契約の切り替えが必要となる全ての企業に対し、エネルギー供給事業者が契約期限終了の少なくとも2カ月前に通知を行い、異なる事業者間の料金を比較する時間を与えるなど、中小・零細企業を支援する項目が含まれていることを強調した。

また、一般世帯向け電力価格抑制策(2022年9月16日記事参照)が国内150万社の零細企業にも適用されることを確認するとともに、2022年7月に適用を開始した燃料費への支援措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)の利用が進んでいないことを踏まえて、支援額の上限を倍増する意向を表明した。さらに、化学、金属、アルミニウムなどのエネルギー集約型戦略部門に向けた特別支援措置の導入についても排除しない考えを示した。

電力卸売価格については、1メガワット時(MWh)当たり180ユーロの上限を設定し、発電事業者がこれを超える価格で電力を販売した場合の超過収益を国が徴収し、企業や地方自治体向け支援措置の財源に充てるメカニズムを導入すると発表した。これは9月30日に行われたEUのエネルギー担当相理事会における政治合意(2022年10月3日記事参照)を受けたもので、現在、国民議会で審議されている2023年度政府予算法案に修正案として盛り込まれる。

同相はまた、経営状況が脆弱(ぜいじゃく)でエネルギー事業者との契約締結が難しい(中小・零細)企業について、エネルギー供給事業者が契約時に求める銀行保証に公的保証を供与するかたちで支援することを約束した。

(注)電気・ガスの燃料費が2021年の売上高の3%以上に達しており、電気・ガス購入価格が2021年の平均価格の2倍になった企業が対象となる。支援額の上限は2021年比で月次の営業黒字が減少している企業に対して200万ユーロ、営業赤字を計上しており赤字額が燃料費増加分の2倍相当の企業に対して2,500万ユーロ、欧州委員会が支援対象セクターに指定した業種外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで営業赤字が燃料費増加分の2倍相当の企業に対して5,000万ユーロと設定されている。

(山崎あき)

(フランス)

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