ASEANビジネス投資サミット、地域が直面する課題を議論

(ASEAN、カンボジア、インドネシア)

ジャカルタ発

2022年11月21日

ASEAN首脳会議の併催イベントとして、ASEANビジネス投資サミット(ABIS)が11月10日、ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)の2022年議長のカンボジア商工会議所の主催により、カンボジア・プノンペンで開催された。

冒頭の基調講演では、フン・セン同国首相が「この3年間、ASEANはASEAN包括的復興枠組み(ACRF)を通じて、新型コロナ禍とその後の復興を加速してきた」と述べ、「私たち全員が直面している課題の克服に向けた重要な手段や優先課題を設定するため、良いインプットを提供してくれる重要な人物たちが集まったことをうれしく思う」と期待を寄せた。

2022年のABISのテーマは「アドレシング・チャレンジス・トゥゲザー(Addressing Challenges Together)」で、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的緊張の高まりや、デジタル化、気候変動への対応など、新型コロナ禍からの回復途上でASEAN各国が直面する課題について、ASEAN首脳やビジネス界のリーダーらが議論を行った。

「RCEPおよびASEANへの投資(RCEP and Investing in ASEAN)」と題したパネルディスカッションでは、地域的な包括的経済連携(RCEP)が参加国の経済や東南アジアへの投資に与える影響などについて議論が行われた。登壇したジェトロの佐々木伸彦理事長は「日本にとっては、主要な貿易相手国の中国、韓国と締結する初めての協定であり、日中韓の関係で受けるメリットは大きい」とし、「ASEANではASEAN物品貿易協定(ATIGA)や2国間協定などが発効しており、RCEP協定の発効によって直ちにRCEP加盟国間の物品貿易の飛躍的な増加につながるわけではない」とした。その上で「一方で、RCEP加盟15カ国の原産地規則が統一されたことの意義は大きい。RCEP協定の発効は企業経営の自由度を広げることにつながる」とした。他の登壇者からは、RCEP協定の活用を推進していくに当たっては、政府や関連機関による啓発やビジネス界からのフィードバックの双方が非常に重要で、どちらが欠けてもいけないとの指摘があった。

同イベントでは、ASEAN-BACのカンボジア代表からインドネシア代表へ、次年度のABIS議長の委譲も行われた。同日に行われたASEAN首脳とASEAN-BAC各国代表の会合で、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は「ビジネス界と政府のパートナーシップはより強化されなければならない」とし、ASEANの長期的な競争力を高めるためには、イノベーションと中堅・中小企業の競争力強化が重要だと示唆した(11月11日「CNBC Indonesia」)。

(尾崎航)

(ASEAN、カンボジア、インドネシア)

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