韓中首脳会談を開催、韓中FTA第2段階交渉の早期妥結で一致

(韓国、中国)

ソウル発

2022年11月16日

韓国大統領府は、11月15日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、訪問中のインドネシア・バリ島で中国の習近平国家主席と会談したと発表した。習国家主席とは、尹大統領就任以来初の対面式での会談となった。首脳会談では、韓中国交樹立30周年を迎え、両国関係を相互尊重と互恵、共同利益に基づいて一層の発展を目指していくことで一致した。また、外交、安全保障、経済、相互交流などの個別の課題について幅広く議論された。

グローバルな課題について、尹大統領は、東アジアと国際社会の自由・平和・繁栄のための中国の役割は非常に重要であり、韓中両国が緊密に意思疎通し、協力していこうと述べた。さらに、パンデミックや世界的な景気の低迷、気候変動などの複合的な挑戦を共に克服するため、韓中両国間の高官級対話を定期的に開催することを提案した。習国家主席は、高官級対話の活性化の必要性に共感し、韓中間の1.5トラック対話(注1)の設置を提案するとともに、両国間の意思疎通と政治的信頼を構築していこうと応じた。

北朝鮮による度重なる挑発行為については、尹大統領は、国連安保理常任理事国である中国の積極的かつ建設的な役割に対する期待について言及した。それに対し、習国家主席は「中韓両国が朝鮮半島問題に共同利益を持ち、平和を維持すべきであり、韓国が南北関係を積極的に改善していくことを希望している」と述べた。韓国による対北朝鮮政策の「大胆な構想」(2022年8月17日記事参照、注2)について、習国家主席は「北朝鮮が呼応すれば、当該構想もうまく実施されるよう積極的に支持、協力していく」と述べるにとどまった。

経済関係については、両国は韓中FTA(自由貿易協定)第2段階交渉の早期終結で合意した。現在、韓中FTAの関連規定に基づき、投資・サービス分野のさらなる自由化に向けた交渉が行われているところだ。また、首脳の相互交流について、習国家主席は「新型コロナウイルス感染症拡大が沈静化することを前提に、尹大統領の訪韓要請に喜んで応じる。相互に都合の良い時期に尹大統領が中国を訪問することを希望する」と述べた。

韓国の「聯合ニュース」(11月15日)は、韓国側発表で言及されていない点について、中国中央テレビの報道を引用し、「習主席は、両国がグローバルサプライチェーンの安全と安定、円滑な流れを共に保障しなればならないと強調した。これは、米国による半導体などのサプライチェーンから中国を排除しようとする行動に韓国は参加しないように、との趣旨と解される」と報じている。

(注1)官民対話方式のこと。

(注2)尹大統領による、北朝鮮の非核化を前提に大規模な経済協力を行う構想。

(当間正明)

(韓国、中国)

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