日カンボジア首脳会談で協力関係の格上げ合意、自動車の民間投資も

(カンボジア、日本)

アジア大洋州課

2022年11月22日

岸田文雄首相は11月12日、ASEAN関連首脳会議出席のためカンボジアの首都プノンペンを訪問し、同国のフン・セン首相と首脳会談を実施した。両首相は、2023年の日カンボジア外交関係樹立70周年の機会に両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることを合意した。

両国の経済関係について、岸田首相は、官民を挙げてカンボジアの産業の発展と産業人材育成に協力していくと述べた。その1つとして、日本はカンボジアにおいてデジタル技術で金属部品を製作できる人材の養成に協力していくと話した。

フン・セン首相からは、日系企業によるカンボジアの経済と産業への貢献を高く評価し、日系企業の投資をさらに誘致していきたいとの発言があった。

また、両首相は安全保障分野における協力推進のほか、ウクライナや北朝鮮などの情勢に対する懸念についても意見交換を実施した。

両首相は首脳会談後、両国の協力案件に関する署名式に立ち会った。日本のカンボジアに対する無償資金協力では、次の4件(合計73億9,800万円)が署名された。

  1. サイバーセキュリティーシステム構築のための機材供与(供与限度額11億5,000万円)
  2. カンボジア地雷対策センター研修複合施設および広報施設建設計画(供与額24億5,100万円)
  3. プノンペンのプンプレック上水道拡張計画(供与限度額33億6,100万円)
  4. 感染性廃棄物管理改善計画(供与限度額4億3,600万円)

豊田通商、トヨタ車の組み立て工場設立を発表

署名式では、豊田通商とカンボジア経済財政省との間で、カンボジアの自動車産業の発展に向けた協業に関する覚書(MOU)の署名も行われた。このMOUの一環として、豊田通商は11月14日、豊田通商マニュファクチャリング・カンボジア(TTMC)を設立したと発表。投資額は約3,680万ドルで、プノンペン経済特区内に車両組み立て工場を建設し、トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」およびスポーツ用多目的車(SUV)「フォーチュナー」を現地組み立てする計画となっている。

(庄浩充)

(カンボジア、日本)

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