G20サミット宣言、ウクライナ問題を契機とする食料安全保障など

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年11月25日

金融・世界経済に関する首脳会合(G20サミット)が11月15、16日の両日、インドネシア・バリで開催された。日本の岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン大統領、中国の習近平国家主席らの首脳が参加した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の参加は見送られ、代理でセルゲイ・ラブロフ外相が参加した。

G20のテーマは「共に回復し、より強く回復する(Recover Together, Recover Stronger)」で、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は15日、自身のSNSアカウントで、「世界が困難な課題に直面している時に、G20諸国の首脳らが集うためには、並々ならぬ努力が必要だ。G20サミットをインドネシアが主催できることを光栄に思う」と述べた。

ウクライナ問題や、食料・エネルギー安全保障、国際保健、デジタルトランスフォーメーションといった課題について議論が行われた。ウクライナ問題について、日本の岸田首相は、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難し、ロシアによる核の脅しも使用もあってはならない旨を訴えた(11月16日、外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

議論の総括として、G20首脳宣言が採択された。宣言では、「ほとんどのG20メンバーは、ウクライナにおける戦争を強く非難している」とし、「成長の抑制、インフレの増大、サプライチェーンの混乱、エネルギーおよび食料不安の増大、金融安定性に対するリスクの上昇といった世界経済における既存の脆弱(ぜいじゃく)性を悪化させている」とした。その一方で、「この状況およびロシアに対する制裁について、他の見解および異なる評価があった」とした。宣言では、2022年7月22日に署名されたイスタンブール合意(注)について、全ての当事者に取り組みの継続を求めることや、国連食糧農業機関(FAO)と世界銀行グループに対し、食料不安に関するマッピング演習の結果を共有するよう求めることなどが盛り込まれた。

2023年のG20はインドで開催される予定だ。

(注)黒海を通じ、ウクライナの穀物輸出とロシアの肥料輸出を可能にする合意。ロシアのウクライナ侵攻以降初めての、ロシア、ウクライナ両国間での政治的合意。国連とトルコの仲介により、2022年7月22日に合意にいたった。

(尾崎航)

(インドネシア)

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