子供の肥満率、2021年も著しく上昇

(チリ)

サンティアゴ発

2022年11月14日

チリの国家教育扶助・奨学金評議会(JUNAEB)は、国内にある8,877の教育機関(チリ全体の85.8%)に通う45歳、56歳、67歳、1011歳、1415歳の生徒(注)902,586人(うち、有効な回答は75887人分)を対象に実施した肥満度調査の結果を年齢別、性別、地域別に分類した統計データを発表した。同データによると、2021年に「肥満」と分類された生徒の割合は、前年から5.6ポイント上昇し、31.0%となった(添付資料表参照)。また、調査対象となった全ての学年において肥満の割合が増加しており、肥満に分類された生徒のうち3分の1が「重度の肥満」となった。一方で、「低体重」「普通体重」「過体重」の割合はそれぞれ減少している。

年齢別にみると、1011歳の肥満率が36.3%と最も高く、56歳(35.0%)、67歳(34.8%)、45歳(33.7%)、1415歳(16.9%)と続く。性別でみると、肥満に分類される女子生徒は全体の18.4%、男子生徒は22.0%、重度の肥満に分類された女子生徒は全体の8.4%、男子生徒は12.9%で、女子生徒よりも男子生徒の肥満率が高かった。地域別にみると、最も肥満率が高かった州は、中部マウレ州(33.9%)、中部アラウカニア州(33.7%)、南部マガジャネス州(33.0%)で、チリの中部から南部地域で肥満率が高い傾向にある。一方で、チリ北部の肥満率は低い傾向にあった。

今回の調査結果についてJUNAEBは、新型コロナウイルス感染の影響を受けた2020年に引き続き、座りっぱなしのライフスタイルがもたらす運動不足、超加工食品の消費増などの要因によって肥満率が高まったとしている。また、チリが肥満問題を克服するためには、世代、社会、文化の変革に数十年の期間を要する可能性があることを念頭に置きつつ、健康や教育だけでなく、社会開発、住宅、仕事、経済、環境などを含む様々なカテゴリーにおける集中的な取り組みが必要と指摘。公共政策は目先の結果だけを見るのではなく、長期的な展望を持たなければならないと締めくくった。

(注)学年による区分。45歳がプレ・キンデル(pre-kínder)、56歳がキンデル(kínder)、67歳がプリメロ・バシコ(1° básico)、1011歳がキント・バシコ(5° básico)、1415歳がプリメロ・メディオ(1° medio)の生徒となる。

(岡戸美澪)

(チリ)

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